養殖マダイは天然ヒラメの夢を見るか?

仕事の帰りにスーパーで安くなっている魚のアラを良く買う。アラになると異様なほどに安いのに、それが養殖ものになると圧倒的なほど更に安くなる。

「養殖の魚」なる存在は人間に食べられるためにこの世に生まれ、人間に食べられるために存在しているわけであり、考えれば考えるほど哀れに思えてくる。

でもよく考えれば、「生まれた意味」とか「存在理由」というのは人類にとって永遠のテーマのひとつである。

理由が何であれ、人は「自分が生まれてきた理由」とか「自分は何のために存在しているか」などを知りたがるものだし、考えようによれば、それが生まれた瞬間から決定されていると言うのは、大きな恵みの1つであるとも言える。

養殖の魚は生まれた瞬間どころか生まれる以前から自分の生の意味が意味が決定されており、いうなれば本質が実存に先立っているわけで、完璧に砂に隠れているつもりだったのに底引き網で捕まえられてスーパーで売り飛ばされるヒラメの「何の為に生まれて、何をして生きるのか、答えられないなんて、そんなのは嫌だ!」という実存的苦悩とは無縁である。

はたして、ドナドナされてきた養殖マダイと、海底から拉致されてきた天然ヒラメのどちらが幸せか、ということに答えが出せるだろうか?

そう考えると、人間の幸不幸なんかあまりに個人的であまりに相対的である。としかいえませんなぁ。

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