バイロイトの第九 フルトヴェングラー指揮
第九のCDは掃いて捨てるほどあるけど、その中でも中で12を争うほどに名盤の誉れが高いのは「フルトヴェングラー指揮のバイロイトの第九」である。
1951年に第二次世界大戦後のドイツで初めて開催されたバイロイト音楽祭でのライブ録音ということで、ナチスと戦争に抑圧されてていた楽団と指揮者と客のテンションはこれでもかというほど高い。
しかしながらそこはプロの音楽家ということで、抑えるべきところは抑えてクールに繊細に演奏したりもするわけで、逆にそれが弾けた時のパワーはもう凄い事になってる。特に第四楽章の乗りに乗ってるスピード感は聴いていると完全に引き込まれる。第九のエネルギーとかパワーの要素が最も表されている演奏であろうかと思う。
あまりにも名高い録音なので、色々なバージョンのCDやレコードが次々発売され、例えば、オリジナル盤に何処のテープを使うとか、どういうフィルタをかけてノイズを消したとか、擬似ステレオになっているとか、足音が入っているとか、拍手のバージョンが何であるとか、そういったバリエーションをつけたCDがやたらと多い録音でもある。
そういうニーズがあるくらいなのでこの録音に対するマニアがいるほどで、ネット上に色々なレーベルや趣向で発売されたこの演奏のCDの聞き比べた感想を載せたサイトが存在し、このCDの音は厚みがあるだの、このCDの音は透明感があるだのという情報には事欠かない。
私が持っているのは東芝EMIのCE28-5577で、世界初のCD化された録音の再販バージョンであるらしい。
このCDはある人によればなかなか評価の高い「響きや楽器のニュアンスもある程度保たれている」CDであり、ある人によれば「音は広がってしまい、スカスカ」ということやけど、録音の良し悪しのレベルの話をしたら1951年のライブ録音であるというレベルでアウトやし、アルトゥル・シュナーベルの録音のように明らかに聞きづらいことはないので全然問題なし。
良い音質を求めるのがオーディオマニアで、良い演奏を求めるの音楽ファンだとしたら、私は音楽ファンオーディオマニア寄り、という所だろう。
多分、特にオーディオにこだわってない人はどののCD聞いてもそれほどの違いはないかと思われるので、どのCDが良いとか気にせずにこの良い演奏を聞いておいて損はないやろうと思われる。