J.M. クッツェー 『夷狄を待ちながら』

J.M. クッツェー 『夷狄を待ちながら』

もうすっかりお気に入りのJ.M. クッツェーが1980年に書いた『夷狄を待ちながら』を、半分は日曜日にうつらうつらしながら夢うつつ状態で、残り半分を風呂で半身浴しながら読んだ。 原題は「Waiting for the Barbarians」という事で、アマゾンの紹介を引用すると、静かな辺境の町に、二十数年ものあいだ民政官を勤めてきた初老の男「私」がいる。暇なときには町はずれの遺跡を発掘している。そ[…]
未定は予定 日記/雑記/妄談

未定は予定

土曜日、完全に冬になってもうこれ以上大きくなりそうに無いので、ヘチマを回収する。完全に枯れていたようでヘチマ水は回収できず残念。 一緒に移ってるマスクは新しく買ったCressi-subの「Big Eyes」だな。視界が広いと言う話やけど風呂に潜っても全くわからんのではよ海行きたい。 しかしながら下方向の視界の確保が格段に優れたこのマスクは、最近立て続けに目の手術をした父と母が術後に目の周辺を濡らさ[…]
レベッカ・ブラウン 『若かった日々』

レベッカ・ブラウン 『若かった日々』

レベッカ・ブラウン『若かった日々』を読んだ。 父と母を失い、自分がレズビアンであると認識した現在から見た場合の「若かった日々」、つまりは母と父に関する事、自分がレズビアンなのに気付く事に関する自伝的な連作短編集。 三島由紀夫と志賀直哉に代表されるように、まぁ、よくあるテーマではある。 原題である「The end of Youth」の地点に収束する「若かった日々」を語る事で母の人生と死を受け入れ、自[…]
文体キメラがあらわれた! 日記/雑記/妄談

文体キメラがあらわれた!

昔から古い儒家とかギリシャの哲人とかが言い続けてきたおかげで「中庸」はとても大事なものとされているようだ。 私自身も性格的に極端から極端に走りがちなので「中庸」には常に気を使っているつもりやけど、最近の本の読み方を振り返ればやっぱり「中庸」とは程遠い。 変態性欲や薬物やアルコール、はたまた仕事や恋愛などの中毒になるのとは違って、本読み依存になった所でそれほど人に迷惑がかかるわけでもないけど、それで[…]
OpenPneでSMTPを使う Server/Daemon

OpenPneでSMTPを使う

仕事でオープンソースのSNSであるOpenPneを検証した。 インストール自体は特に何の問題もなく簡単に済んだのだがちょっと困った事があった。 それは、招待メールだのお知らせメールだのが送信される際にローカルのメール送信コマンド(PHPのmail関数から呼ばれる)を使うという仕様。 これのおかげでメールが送信できない。 検証したサーバーではセキュリティ上の配慮からリモートだろうがローカルだろうがメ[…]
ブリジット・オベール 『マーチ博士の四人の息子』

ブリジット・オベール 『マーチ博士の四人の息子』

たまには趣向を変えてミステリなど。 ブリジット オベール『マーチ博士の四人の息子』を仕事から帰って一気に全部読んだ。 アマゾンでは医者のマーチ博士の広壮な館に住み込むメイドのジニーは、ある日大変な日記を発見した。書き手は生まれながらの殺人狂で、幼い頃から快楽のための殺人を繰り返してきたと告白していた。そして自分はマーチ博士の4人の息子―クラーク、ジャック、マーク、スターク―の中の一人であり、殺人の[…]
J.M. クッツェー 『敵あるいはフォー 』

J.M. クッツェー 『敵あるいはフォー 』

この本でクッツェーを読むのも三作目。1986年に書かれた作品であり、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』のパロディという言われ方をするけど、当然そんな単純なものじゃない。 日本語のタイトルは『敵あるいはフォー』だが、原題は『FOE』で古英語で「敵」、ダニエル・デフォーの本名と言う二つの意味を指すらしい。 英国の女性が漂流して島にたどり着き、島に住み着いた「クルーソー」とその下僕の「フライ[…]
阿部和重 『ミステリアスセッティング』

阿部和重 『ミステリアスセッティング』

2006年の11月30日に出たばかりの新刊、阿部和重の『ミステリアスセッティング』を読んだ。 アマゾンでの紹介はかなり気合が入っていて、ある老人が語りはじめた、一人の少女の運命――ハムラシオリという、歌を愛してやまなかった女の子をめぐる、痛いほど切なく、あまりにも無慈悲な新世代のピュア・ストーリー。なぜ彼女だけが、苛酷な人生を歩まなければならなかったのか? この未知なる感動の物語は、21世紀版「マ[…]
図書館、グイン・サーガ111 日記/雑記/妄談

図書館、グイン・サーガ111

クッツェーの『恥辱』を読み終わってからその本を返し、リクエストして買ってもらった本を借りるためにに市営の図書館に行くと、思いがけずいつも職場で見る学生が本を読んでいるのを見かける。 友達といるのを見た事が無く、いつも一人で行動し、必要以外に人と接したり話したりせず、控えめで礼儀正しく真面目そうでおとなしく勉強ばかりしている。 害が全く無い故に、おそらく一般的には「変な奴」で済まされるであろう人間で[…]
J・M・クッツェー 『恥辱』

J・M・クッツェー 『恥辱』

私にとって二冊目となるJ・M・クッツェー『恥辱』を読了。 1999年に発表された本作は同年度のブッカー賞受賞作となった。 内容は一言で言うと南アフリカを舞台にした一人の男の転落物語である。 52才の大学教授がセクハラで大学を追われ、娘が営む農園に身を寄せて暮らし始めたものの、穏やかな暮らしに慣れ始めた頃に突然事件が起こる。 と筋だけ読むとチープすぎる内容やけど、チープすぎると言う事は逆に言えばどこ[…]
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