梨木 香歩 『西の魔女が死んだ』/ 女の子的冒険物語 / ターシャ・テューダー解釈 / ひきこもりへの分かれ道  / 反『シンセミア』的物語

梨木 香歩 『西の魔女が死んだ』/ 女の子的冒険物語 / ターシャ・テューダー解釈 / ひきこもりへの分かれ道 / 反『シンセミア』的物語

ISBN-10: 4101253323 梨木 香歩 『西の魔女が死んだ』を読んだ。 ネットであろうが周りであろうが、どこを見てもこの本を褒める人ばかりでこれをけなすのは人の道に外れるような空気が漂っている。これは「千と千尋の神隠し」の時の空気と似ているような気がする。 一応この本は出版当初は「児童文学」だったはずである。それが売れに売れて映画化までされて一般文学のような扱いになっているということで[…]
『ひきこもりの家族関係』 / 斎藤環のマジメさが逆にわかった

『ひきこもりの家族関係』 / 斎藤環のマジメさが逆にわかった

ISBN-10: 4062720558 ひきこもり本として斎藤環のものばかり読んでいたので、ちょっとほかの人の本も読まねば、ということでそこそこ評価の高いようである田中千穂子『ひきこもりの家族関係』を読んだ。 この人はセラピスト的心理療法家ということで、立場的には斎藤環に近く、精神科医ではない。この本の趣旨として「ひきこもりという状態像の実態を解明する、あるいは概説をする、とうことでも、対処のため[…]
『私がひきこもった理由』 / ひきこもりはカオスであることを知る本/ リアルひきこもりブッダ

『私がひきこもった理由』 / ひきこもりはカオスであることを知る本/ リアルひきこもりブッダ

ISBN-10: 4893083988 私の敬愛する勝山実氏がインタビューに答えているということで『私がひきこもった理由』を読んだ。2000年出版と結構古い本である。 この本は15人のひきこもり経験者や実践者の諸氏がインタビューに答える形で自分語りをする体裁になっているのだが、期待していた勝山実氏のインタビューは期待していた方向には面白くなかった。それでも現在「ひきこもり名人」「ひきこもりブッダ」[…]
笠原嘉 『軽症うつ病』 / ゼロからわかる「軽症うつ病」だけに留まらない深度

笠原嘉 『軽症うつ病』 / ゼロからわかる「軽症うつ病」だけに留まらない深度

ISBN-10:4061492896 最近お気に入りの人である笠原嘉の『軽症うつ病』を読んだ。ピンからキリまで、ちゃんとしたものからトンデモまで、世の中にいくらでもある「うつ病」に関する本の中では正統派の王道としてなかなかに評判が高い本のようである。 精神医学系の本というのは一般的には人気があっても臨床や治療の現場ではまったく役に立たないものが多いというけど、この本はうつで病院に行った時に医者から[…]
グレン・グールド 「バッハ:フーガの技法、インヴェンションとシンフォニア 」 音楽

グレン・グールド 「バッハ:フーガの技法、インヴェンションとシンフォニア 」

ASIN: B00005HMOW 久しぶりに音楽のエントリを。 最近やたらとバッハが好きになってひたすら聞きまくっており、私の大好きなグレン・グールドが演奏する「フーガの技法、インヴェンションとシンフォニア」 が気に入っている。 グールドはフーガの技法をオルガンで、そのほかをピアノで演奏しているのが、グールドのオルガン演奏はちょっとレアな気がする。 しかし、バッハが楽器を指定していない「フーガの技[…]
笠原嘉『ユキの日記 病める少女の20年』 / 戦う少女の20年 / 逃げないカトリックはよく訓練されたカトリックだ

笠原嘉『ユキの日記 病める少女の20年』 / 戦う少女の20年 / 逃げないカトリックはよく訓練されたカトリックだ

ISBN-10: 4622051370 なんやかんや言いながらもとても気に入った笠原嘉であるが、彼のの編集した『ユキの日記 病める少女の20年』 を読んだ。 この本は20歳で統合失調症を発症して28歳で心不全で死亡した「ユキ」なる女性の残した8歳から20歳までのノート60冊にも及ぶ膨大な量の日記を、彼女の統合失調症の最後の主治医であった笠原嘉が両親から見せられてとても感動し、編集しなおして出版した[…]
中井久夫『最終講義 分裂病私見』 / 「統合失調症」を題材にした人間肯定の書

中井久夫『最終講義 分裂病私見』 / 「統合失調症」を題材にした人間肯定の書

ISBN-10: 4622039613 統合失調症本の第二弾ということで中井久夫の『最終講義 分裂病私見』を読んだ。 この中井久夫という人は、ウィルス学から精神科に転向した、統合失調症を専門とする精神科医で、阪神大震災後に設立された兵庫県こころのケアセンターの初代所長でもある。 また、精神科医としてだけでなく、現代ギリシャ詩人カヴァフィスの全詩集翻訳によって読売文学賞受賞を受賞したくらいの、文学者[…]
バッハとガスガン、そして怪しい私 画像

バッハとガスガン、そして怪しい私

最近やたらとバッハがお気に入りで、もうバッハばかり聞いている。 天気が良かったので部屋の掃除中をしながらグレン・グールドのインヴェンションとシンフォニアを大音量で聞いていたのだが、部屋に転がっているBB段を拾っているとガスガンが撃ちたくなってきて部屋の壁に取り付けられた的を「ガガッ!ガガッ!」と機嫌よくダブルタップで撃っていたまでは良かった。 ワンマガジン撃ちつくしてスライドストップがかかって、ふ[…]
高野文子『棒がいっぽん』 / 「表現」のたどりつく一つの極

高野文子『棒がいっぽん』 / 「表現」のたどりつく一つの極

ISBN-10: 4838706138 最近同じ職場の某氏に色々と漫画を借りて読んでいるのだが、衝撃的だったものを一つ。高野文子の『棒がいっぽん』である。 この漫画は色々なところに発表された短編を集めたもので、ストーリー漫画性は全くといって良いほど無い短編集なのであるが、これを読んで漫画を含む「表現」というものでここまでのことが出来るのかととてつもなく驚いた本である。 この『棒がいっぽん』の中では[…]
かっちゃん… 日記/雑記/妄談

かっちゃん…

私がこのブログを始める時にこれだけは決してするまいと決意していた事があった。 それは「社会情勢を斬ったり時事ニュースに意見を述べる」という事なのだが、昨日は余りにも戸塚校長の意見に笑ってしまったので、つい出来心で時事ニュースすれすれに肉薄したことを書いてしまいかなり反省している。 しかし、今日もニュースを見て昨日以上に笑ってしまったので、もうその禁を破り時事ニュースそのものを扱ってしまう。 とりあ[…]
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