映画:バットマン ビギンズ /「井戸に入る」> 「ヒマラヤに登る」

amazon ASIN-B00067HDW0この間「ダークナイト」を観てとても面白かったので、その前作である「バットマン ビギンズ」(2005/米)を観た。
ゴッサムシティの大富豪の一人息子だった男が、いかにしてバットマンとなってゴッサムシティを悪から守るために立ち上がったのか、そして何が彼をバットマンへと導いたのかという話であった。
バットモービルやバットスーツの開発の様子も見られるのがなかなか面白かった。
ティム・バートンのどこと無くコミカルでファンタジーな路線とは全く違う、ダークでリアルな作りが上手く働いていてとても面白かった。
そりゃこの映画観たら「ダークナイト」も観たくなるわな。
とはいっても、先に「ダークナイト」観てからでも全く問題の無いつくりになっていた。


ティム・バートンの「バットマン」で描かれるゴッサムシティは独特の装飾過多ないかにもティム・バートン雰囲気を持っていたけど、このクリストファー・ノーランの描くゴッサムシティはそんな雰囲気は全く無くなり、現代のどこの都市であってもおかしくないような雰囲気になっていた。
どこにでもあるような都市のどこにでもあるようなビル、そしてどこにでもいるような金持ちと貧乏人と悪人と善人が繰り広げる物語は突飛ながらももしかしたらありえるかもしれないようなリアルさをもっていたように思う。
ネット上では主人公バットマンは金持ちの道楽とかセレブ野郎とかアマちゃん過ぎてムカつくとか言われているけど、非の打ち所が無いながらも、悩み迷いつつ苦しみながらも正義のために身を尽くす事を決心したバットマンはなかなかに好感が持てた。
正義(的)行為にいそしむマイケル・キートンのバットマンはあまりにも人相が悪くて、歪んだ嗜好から暴力と嗜虐の正当化のために正義の味方をしているように見えなくも無かったのだが、このバットマンは爽やかで男前で強くて脆い所もありいかにもハリウッド映画的に良い感じである。
この映画の中で自己超克だとか意識改革だとかの手段として「ヒマラヤに登る」と「井戸に入る」の二つの手段が出てくるのだが、結局「井戸に入る」の方が自己に関する根本的な問題に近づけるとする方向性であるところが、いかにも今風なハリウッド的東洋思想やなぁと思った。
「ダークナイト」を観たときも感じたことやけど、あらゆる年齢のあらゆる客層に対したあらゆる要素を詰め込もうとする、全方向全要素的ハリウッド映画の最も典型的な面白さであった。
もうこのシリーズは新しく出るたびに観ずにはおれないだろうと思った。

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