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2011年3月1日

ロマン・ポランスキー『テス』/美はフォースである/ナスターシャ 、ポランスキーの怒り

そういえば正月くらいにロマン・ポランスキーの『テス』 を観たのだが、ここに書くのを忘れていた。
この映画はトマス・ハーディの長い小説『ダーバヴィルのテス』が原作だがこちらは未読である。
ストーリーは十九世紀末のイギリスの片田舎に住む美しい少女テスがある日自分が伯爵の家系である事を知り、家族から同じ家名を持つ金持ちの屋敷に援助を頼みにいかされ、テスはの屋敷の息子に見初められてその屋敷の農場に奉公する事になるが、美しさゆえにその息子に手込めにされて情婦とされてしまい、そんな生活から逃げ出して別の農場に行くもまたその農場主と恋に落ちる…
と言う感じの、図らずもいつの間にか自らの美しさを頼りに世を渡っており、そして気付けばその美しさゆえに滅んでゆく、普通に生きようとしたが自らの美しさがそれを許さなかった、運命に翻弄された業深きテスの物語と言った所か。
このテスを演じる「ナスターシャ・キンスキー」は私の大好きな「クラウス・キンスキー」の娘である。
クラウス・キンスキーが私がもっとも好きな映画のひとつである、「アギーレ/神の怒り」「フィツカラルド」「コブラ・ヴェルデ」「ノスフェラトゥ」などの、私が最も好きな監督の一人であるヘルツォーク作品内で演じた役どころは、狂気を帯びたもう殆ど地じゃないか?という危険な匂いがプンプンして余りにも真に迫っていて素晴らしかったのだが、私がこの映画を観たのはその「クラウス・キンスキー」の娘が出ているという理由が殆どである。
「バイオ・ハザード」シリーズがミラ様鑑賞映画なのと同様に、この「テス」もまたナスターシャ・キンスキー鑑賞映画だという評判どうりであった。
カントリーガールからロココ調な感じに至るまで、色々な衣装に着せ替えられて登場するナスターシャ・キンスキーを鑑賞する事になるのだが、ただひたすら美しいだけでなく、時折ちらりと見せる父譲りの狂気を帯びたような眼つきと表情がなんとも素晴らく魅惑的であった。
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やっぱりこう見ても似てますな。被り物もそっくりwww


映画の中のテスのなぜか極端から極端に走る暴走っぷりは素晴らしかった。自ら扱いきれず制御できない大きな力である自らの美に翻弄されて破滅してゆくってあたりは、アナキン・スカイウォーカーのようでもあるのだが、最後に自らを救い上げてくれるルークのような人が居ないうえに、なぜか知らないうちに色々な事に巻き込まれてゆく、ロクな男に出会えないテスが痛々しくてとても可哀想だった。
そして、そんなテスの登場する映像は一々美しく、なんというか、このくらいの年代の女の子に特に顕著にありがちな「本当はどれくらい美しいか本人が全く気付いていないような美しさ」っていうところがとても良く出ていたように思う。
本当に女性を美しく撮ったり描写する人というのは、女性であれば必ず持っている、その本人こそが逆に気付けない魅力や美しさを如何に見つけて引き出すかと言う所にあるように思う。
そしてこの「ナスターシャ・キンスキー」の「テス」に関しては、ロリコンであることで有名で実際にそのかどで逮捕され有罪判決まで出ているロマン・ポランスキーの真価が発揮されていると言っていいのではないだろうか。
ナスターシャ・キンスキーとポランスキーは彼女が15歳の頃から恋愛関係を持っており、彼女が16歳だったこの映画の撮影当時も絶賛関係中であったと言う話である。
彼女の美しさと魅力は、当人のナスターシャ・キンスキー自身よりも誰よりも、ポランスキーが一番良く知っていたという事なのでしょうな。
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「ピクニック at ハンギング・ロック 」 やヴァージン・スーサイズ がこの年代の女の子の持つ特有の美を集合的に演繹的に描き出していたのに引き換え、このテス はその美をナスターシャ・キンスキーという個に絞って描く事で、逆に帰納的に「女性の美」そのものを表現できていたように思う。
そしてその美がただ美しいという無害なものであるだけではなく、スターウォーズ的な意味での「フォース」であると言う事も。
自らの美をはっきりと意識してそれを存分に正しく使うのはジェダイとして当然でも、その力を上手く使えずに持て余して自らの美に翻弄されながら滅んでゆく美もまたあるように思う。
まぁ、本人は大変でしょうが…
なんというか、こんな映画を残す事のできたナスターシャ・キンスキーは女冥利に、そしてロマン・ポランスキーも男冥利に尽きるのではないだろうかと、オッサンである私は思うのであった。
この「テス」は少女への淫行容疑で逮捕され怒りまくって国外へ逃亡したポランスキーの怒りのロリコンパワーが炸裂して結実した見事な作品といえるだろう。
いわば「ナスターシャ /ポランスキーの怒り」という感じですかな。

まったく関係ないけど、リスザルを握り締めて「俺は神の怒りだ!」と豪語するアギーレ氏と、ニワトリを抱きながら「口笛っすか?」とポカンとしているテス嬢は妙に似ていると思った。
Aguirre2.jpgtess4.jpg

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