スタンリー・キューブリック「スパルタカス」(1960/米)

amazon ASIN-B00024Z400スタンリー・キューブリック「スパルタカス」を前日に前半、この日に後半を見た。
トラキア人の剣闘士奴隷スパルタカスと、彼の起こしたローマに対する反乱を史実に基づいて描いた物語である。
主演のカーク・ダグラスから雇われ監督として呼ばれたキューブリック自身は思ったように好きなようにこの映画を撮れず、これを死ぬまで自分の監督作品として認めなかったらしいけど、それでも面白かったことは間違いない。個人的には同じような系統で名のある「ベン・ハー」よりもこっちの方が好きである。
少林寺三十六房のような剣闘士の訓練、よく訓練されたローマ兵のレギオン陣形に烏合の衆スパルタカス部隊がなだれ込むシーン、街道に累々と続く磔の十字架、感情的なシーンをやたらとクールに描いているところなどはキューブリックぽかった。


自由を求めて戦った「ものをいう道具」とされる奴隷である彼らの運命はやっぱり観ていていたたまれなくなる。
しかしながら、自由を求めて巨大な力に先頭に立って立ち向かったスパルタカスの生き様と死に様は中々に見事に描かれていた。
彼が最強戦士でも、最も賢い人間でもなかったのが良かった。
ローマにとってスパルタカスは奴隷の反乱の象徴であり、反乱軍にとってスパルタカスは自由の象徴であった。
捕虜になったあと「スパルタカスを指し示せば命を助けてやる」という言葉に数千人の人間が「I’m Spartacus!」と立ち上がるシーンがあるけど、それはスパルタカスを庇うと同時に、奴隷として生きるなら自由人として死ぬ方を選ぶ事の象徴的な意味での意思表示であるだろう。
I’m Spartacus!

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