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2008年6月2日

ギャスパー・ノエ 「アレックス」 (2002/仏)

ギャスパー・ノエの「アレックス」を観た。
映画史上最長とも言われる10分以上にも及ぶ長回しのレイプシーンが物議を醸し、どちらかと言うとインパクト系の問題作として扱われる事が多いようだ。
幸せなカップルの二人と、その彼女の元恋人でかつその男の友人でもある男の三人がパーティーに行く。
彼女をほったらかしにして遊ぶ男に怒って一人で帰った彼女が地下道でレイプされた挙句顔を血みどろにされる。
その恋人と友人がレイプした男を探し出して復讐する。
という流れが時間的に逆に描かれる。つまり、最初にエンドロールが流れ、復讐を終えた所から映画が始まる。という構成である。


見ての通りストーリーとしては単純やけど、やたらと暴行シーンがエグい上に、時間軸を逆にしたり、揺れたり点滅したりするカメラで、直接的にも間接的にも映像としての刺激がやたらと強い。正直ストーリーなんかどうでも良いように感じる。
評判どおりレイプシーンはエグかったけど、それ以上に執拗に顔を叩き潰す二つのシーンがたまらんかった。
ネットでは、アレックスと言う名前と最後にベートーヴェンのシンフォニー七番が流れるところで「時計仕掛けのオレンジ」と、「2001年宇宙の旅」の「スターチャイルド」のポスターでキューブリックとの関連性を主張する人がいたけど、私はそんな事は全く感じなかった。まぁ暴力を描いているところくらいは似てるとは思うけど…
邦題は「アレックス」やけど原題は「irreversible」つうことで、元に戻らない、取り消せない、逆にできない、ってな意味である。
元に戻らず、取り消せない、逆にはならない物語を逆から再生する映画である「irreversible」つうことで、中々凝っていると言えば凝っている。
でもまぁ逆から観た所で取り消せるわけでも、元に戻るわけでも、救いになるわけでも無いのは当然やね。
前作の「カノン」でエグい暴力とエゴと近親相姦という題材で「本人にとっては愛での救い」なぞという逆っぽいものを描いてしまう監督やというイメージを持った。
今回はカップルの間で膨らんで行く大きな幸せが、とてつもない不幸に見舞われて一瞬にして破壊される様が時間的に逆から描かれて、「時は全てを破壊する」というメッセージがでかでかと掲げられる。
恐らくこれが監督の言いたい事の一つなのやろうけど、通りがかりの女をレイプする男の破壊はもちろんの事、彼女をほったらかしにして遊ぶ男、怒って一人で帰ろうとしていかにも危ない地下道を通る女、などなど、大小はあれどちょっと気を使えば避けられたはずの事も、ちょっとした人間の愚かな行動がタイミングよく積み重なって破壊を招き寄せたわけで、「時は全てを破壊する」よりは「愚行は全てを破壊する」なんじゃねえの?と思った。
しかし、R18指定にしてもモザイク無いやん…

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カノン

これは『カルネ』という映画の続編なのだが、映像のキレと言い、救いようのなさといい、僕はこっちのほうが好きである。これ単独でも充分作品として鑑賞できるよ...

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