カラ兄にうってつけの日

家に帰る。
ルートヴィヒのピアノソナタが全曲詰め込まれたshuffleの音をダイレクトの耳に流し込み、本棚から『カラマーゾフの兄弟』取り出して読み出す。
イヤホンで外部を遮断し、本の世界に没入する。
外から内から同時に行われる、この離脱感と没入感は強烈だ。
現実逃避の目的から身に付いた、読書と音楽を聴く習慣に再び意識して没頭する。
逃避するほどの辛い現実に囲まれているわけでもなく、離脱したいほど酷い世界だというわけでもないが、とにかく世界から離脱しカラマーゾフ一族が織りなす至高の茶番劇の世界へと逃避して没入する。


amazon ASIN-4003261496俺が読んでいるのは河出の世界文学全集やけど、当然ながらアマゾンにはないので、同じ米川正夫が訳者である岩波文庫版へリンクを張っておいた。
俺が『カラマーゾフの兄弟』を読んでいるのを見て、母が何かあったのかと尋ねる。
そういわれて初めて、俺はちょっと何か事あるごとに『カラマーゾフの兄弟』を読んでいた事に気づいた。
混乱するとシャツにアイロンをあてる人や、落ち込むと公園で鳩に豆をまいてやる人がいるように、俺は精神的に大きく揺らいだ時に『カラマーゾフの兄弟』を読むようだ。
かといって今更何かが起こったというわけでもない。精神的に揺らぎを起こしてしかるべき事など何も起こってはいない。ただ読みたくなっただけだ。
ゾシマ長老の言葉が一々心を打つ。カラマーゾフ一族のナイーブさにいたたまれなくなる。
分厚くて字の細かい本が大好きだ。更にそれが二段組みだったりするとなお良い。
本が長ければ長いだけ、その本の世界の終わりは遠い。
さらにその世界が「カラ兄」であれば申し分ない。

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