『52人を殺した男』
2006年8月11日
暑い中、部屋で寝ころんで読んだ。
ソ連がロシアに変わろうとする時代くらいの、52人に対する猟奇的快楽殺人について書かれたノンフィクション。
モスクワ在住のユダヤ系ロシア人ジャーナリストが英語で出版したものの翻訳になる。
訳者の小田晋って人を昔テレビで始めてみた時は「これが心理学者の典型かー」と軽く驚いたけど、まぁ色んな意味で偏見やわな。
で、初版が1993年と結構古くアマゾンに画像がない。
糞暑い中でこういう感じの本を読めばかなり読後感が悪いだろうと思ったけど、さほどでもない。
まぁ、こういう事件に慣れっこになってるんやろうね。
人は常人の遠く及ばない領域に至ってまで色んな歪み方をするし、どんな事でも原因にしたり動機にしたりする。
何かを持ちすぎている事で悩む人がいれば、何かが足りない事で悩む人がいる。
かといって十分な人でもそれなりに悩んでる。
人間なんか大差ないと言いつつも、実際全然違う。
一皮剥けば同じなどと言い放ってみれば、後天的な属性は全て否定されてしまう。
とは言っても、この手の本で「心の闇」とか言われてもあまりピンと来んのだ。
作り事である筈の小説の中に、ドストエフスキーとかアゴタ・クリストフが描く人物の方がはるかにリアリティーがあるように感じる。
まぁ、この本を読んで、色んな人がいるなぁ。
俺なんか普通な方かも。と無難過ぎるほどに無難な感想を抱いた。