日記/雑記/妄談 8 3月 2010 アントワーヌ・チボーという名の友人 ISBN-10: 4560070504 昨日、終わってしまうのがとても惜しいので、あえてゆっくり読んでいる、と言っていた『チボー家の人々』の最終巻、「エピローグⅡ」をついつい勢い余って読了してしまった。 ジャックの死後の物語であるエピローグが、アントワーヌが死に至るまでの物語であるとは本当にびっくりした。 いくら、ロジェ・マルタン・デュ・ガールがアンチヒロイズムな作家だとしても、これはなんとも居た[…] 続きを読む
本 21 2月 2010 わたしとみすゞとデビルマンと なんでもそうだが、初めての印象が否定的なものになってしまうと、それから先にそれに対して良い印象をもてなくなるということは世の中にとても多いと思う。 たとえば食べ物などで、初めて食べたものが不味いものであったりするとそれから先はその食べ物が嫌いになることが多いし、人間も第一印象が悪くてそれをずっと引きずるということも多々ある。 同様に、私が今まで「詩」を読むことが無かったのは、世間に溢れる、読んでい[…] 続きを読む
本 9 2月 2010 梅佳代『うめめ』『男子』『うめ版 新明解国語辞典×梅佳代 』 ISBN-10: 489815185X ISBN-10: 4898152155 ISBN-10: 4385363196 最近写真をよく見ているのだが、その中で梅佳代の写真がとても気に入っている。 彼女はデビュー作『うめめ』 を8万部売って一躍時代の寵児となったらしい。 読んだのはその『うめめ』 『男子』 『うめ版 新明解国語辞典×梅佳代 』 の三冊であるが、中でも二番目の写真集である『男子』 』が[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 29 1月 2010 サリンジャー死す / 『ライ麦畑でつかまえて』 / 「ひきこもり」最終形態サリンジャー ISBN:4560070512 ISBN:4560047642 今日サリンジャーが死んだ。 もしかすると、昨日かもしれないが、私にはわからない。ってその書き出しはカミュ ですね… ということで、サリンジャーが死んだので私の大好きな本のひとつである『ライ麦畑でつかまえて』 とサリンジャーについて書いてみる。 この『ライ麦畑でつかまえて』 は主人公ホールデン少年がオトナ社会の欺瞞と醜さに耐えられずに社[…] 続きを読む
本 23 1月 2010 茨木のり子『詩のこころを読む 』 / 詩・おぼえてますか? ISBN-10: 4005000096 茨木のり子『詩のこころを読む 』を読んだ。 この本は岩波ジュニア新書ということで中高生を主な読者に想定したシリーズの中の一冊であり、日本を代表する詩人である茨木のり子が、詩の初心者に対して「生まれて」、「恋唄」、「生きるじたばた」、「峠」、「別れ」をテーマに自分の好きな詩を載せて解説してみせるという体裁になっている本である。 1979年の発刊から今に至るまで[…] 続きを読む
本 18 1月 2010 リチャード・ドーキンス 『利己的な遺伝子 』 / 「問うこと」そのものを問う ISBN-10: 4314010037 リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子 <増補新装版>』をやっとこさ読み終えた。 私が読んだこの<増補新装版>は1976年の初版から30年目を記念して2006年に出版された第3版にあたるものであり、1989年の2版で追加された12章と13章に加えて、ドーキンス自身による序文と大量の脚注などが追加されている。 この本は去年の部屋の片付[…] 続きを読む
本 12 11月 2009 鶴見済『人格改造マニュアル』 / 以外に真面目な本 / 一切皆苦へのひとつの回答 ISBN-10: 4872333098 私の敬愛する勝山実氏の推薦図書である鶴見済著『人格改造マニュアル』を読んでみた。著者の鶴見済という人はかの有名な『完全自殺マニュアル』 を書いた人でもある。 この本は1993年に出版された 『完全自殺マニュアル』 の三年後である1996年に出版と結構古い本であり、人間の人格を「明るい⇔暗い」、「元気・覚醒⇔落ち着く」の極に分けた上で、「明るく覚醒」「元気」「[…] 続きを読む
本 8 11月 2009 笠原嘉 『青年期―精神病理学から』 / 青年期は罠だらけ / 若者よりもオッサンオバハンが良い ISBN:4121004639 先日当ブログにコメントをいただいたhappyflightboyさんが若いころに読まれたらしい、笠原嘉『青年期―精神病理学から』が面白そうだったので読んでみた。 タイトルのとおり「青年期」と呼ばれる時代に特有の青年に特有な心の動きを精神病理学の立場から見て陥りがちな罠や疾病状態を示しつつ「青年期」を分析し概観する本で、「内なる対人恐怖」「我が身体との出会い」「現代のオ[…] 続きを読む
本 6 11月 2009 酒井保 『自閉症の子どもたち 心は本当に閉ざされているのか』 / 治療者と教育者 / 自閉症症から「人」を見る ISBN-10: 4569617077 先日このブログに書いた笠原嘉『精神病』の感想にキノコ先生がコメントを下さって、笠原嘉『精神病』がおもしろいならこの本も読んでみるがよい。とおっしゃるので「喜んで!」と読んでみた。 2001年出版とちょっと古めの本であるけど、長年自閉症の子どもたちと治療者としての立場でかかわって来た著者による、サブタイトルである「心は本当に閉ざされているのか」という問いに「自[…] 続きを読む
本 5 11月 2009 木村敏 『異常の構造』 / 医学系というよりは哲学系 /博士の異常への愛情 ISBN-10: 4061157310 精神医学の本で、笠原嘉、中井久夫とくれば木村敏ということらしく、木村敏の中でなかなかに有名で面白いと評判の『異常の構造』を読んだ。1973年出版とかなり古い本である。 一応この人も笠原嘉、中井久夫同様に精神医学にかかわる人であるけど、読んでいてなんだか哲学書を読んでいるような感触であった。 私の勉強不足であるのだが、この木村敏という人は精神医学者であるけど、[…] 続きを読む