本 16 9月 2007 栗原 隆 『ヘーゲル―生きてゆく力としての弁証法』(シリーズ・哲学のエッセンス) ISBN:4140093064 最近お気に入りのシリーズ本「哲学のエッセンス」の『ヘーゲル―生きてゆく力としての弁証法』を読んだ。 一回目は一気に読んで微妙に判りにくかったので、二回目はちょっとゆっくりめに読む。余りにお手軽でこんなんでいいのか?と思うのは気にしないことにする。 ヘーゲルといえば弁証法というイメージやけど、この本はそのヘーゲルの弁証法を、自己否定や自己矛盾、「あれか-これか」の状態[…] 続きを読む
本 3 9月 2007 上野 修 『スピノザ―「無神論者」は宗教を肯定できるか』 (シリーズ・哲学のエッセンス) ISBN:4140093331 スピノザといえば『エチカ』というイメージがあるけど、この本はその『エチカ』ではなく『神学・政治論』の方をメインに解説した入門書である。 自由の国であったはずのオランダでの宗教と哲学の衝突を憂慮し、その混乱の解決を目指すべく著され、自然の世界と宗教の世界の分離をどちらも守る形で推し進めようとした『神学・政治論』の意図が分かったような気がする。 宗教は啓示と服従を、哲学[…] 続きを読む
本 18 7月 2007 阿部和重の『無情の世界』 ISBN:4062091313 阿部和重の『無情の世界』を読了。 「無常の世界」ではなく「無情の世界」であるけど、ググると「阿部和重 無情の世界」より「阿部和重 無常の世界」の方がヒット数が多い… この本は今から10年ほど前の1997年から1998年にかけて書かれた三篇の短編が収められている。 それぞれの話の主人公は、ストーカーのエセ家庭教師にすっかり影響された教え子、気が弱くて妄想たっぷりの高校[…] 続きを読む
本 9 7月 2007 門脇 俊介 『フッサール ~心は世界にどうつながっているのか』 (シリーズ哲学のエッセンス) ツール・ド・フランスも始まったという事で、もう乱読も乱読、読書の夏! ISBN:4140093110 ということで門脇 俊介『フッサール ~心は世界にどうつながっているのか』を家に帰ってCD聴きながら一気に読んだ。 この間の 北川東子『ハイデガー 存在の謎について考える』を読んで、「よ~しパパ、ハイデガーでも勉強しちゃうぞ~」という事で、彼の方法論のベースとなっているらしい、彼のお師匠さんでもある[…] 続きを読む
本 8 7月 2007 都筑 卓司 『四次元の世界―超空間から相対性理論へ』 ISBN:4062573806 都筑 卓司『四次元の世界―超空間から相対性理論へ』を読了した。 初版は1969年とかなり古く、私が読んだのは2002年に出た新装改訂版である。 更にはなんとなく微妙なタイトルやけど、新装版が出るだけあって、ブルーバックスの中でも中々有名で、名著の扱いを受けているほどである。 著者は以前読んだ『マックスウェルの悪魔』と同じである。内容はタイトルどおり四次元とはどういう[…] 続きを読む
本 4 7月 2007 北川東子『ハイデガー 存在の謎について考える』(シリーズ哲学のエッセンス) ISBN:4140093005 北川東子『ハイデガー 存在の謎について考える』を読了。とは言っても分量としてはほんの100ページほどなので、読み始めれば一瞬である。 今までハイデガーに関しては何となくわかってるつもりでいたけど、良く考えてみれば『存在と時間』の著者で、存在について考えた人で「存在とは時間性である」って言った人。くらいの認識しかなかった。なんじゃそりゃ? で、とても短い本やったけど、[…] 続きを読む
本 27 6月 2007 檜垣 立哉 『ドゥルーズ~解けない問いを生きる』(シリーズ哲学のエッセンス) ISBN:4140093013 お手軽な哲学系入門書の『シリーズ哲学のエッセンス』のドゥルーズを読了した。この手の本の問題点は思想家自身の著作にあたらずに、その人の思想を解ったような気になってしまうところやろうけど、「解ったような気になっている」域を出ないのだとちゃんと認識しておけば、とてもありがたくて為になる本になるはずである。NHK出版の企画に感謝である。 恥ずかしながら、この本を読むまでにド[…] 続きを読む
本 24 6月 2007 ジョルジュ・バタイユ『マダム・エドワルダ―バタイユ作品集』 ISBN:4042400019 ジョルジュ・バタイユ『マダム・エドワルダ―バタイユ作品集』を読んだ。 バタイユと言えば一応思想家ということになっているわけやけど、実際に話題に登る場合はネタ的にエロい部分で言及される事が多くって、実際彼がどういう思想を持っているのかというのは良く知らなかったわけである。 大抵エロティシズムを全面に出して小難しい事を言う奴は「ただ、お前がやりたいだけやろう」とか「お前[…] 続きを読む
本 16 6月 2007 三島 由紀夫 『天人五衰』 (『豊饒の海』 第四巻) ISBN:4101050244 三島由紀夫『豊穣の海 第4巻』の『天人五衰』を読了。今度は本自体が薄いせいもあり、あっという間に読み終わった。 『豊穣の海』最後のこの巻は80才となった本多が、松枝清顕の3人目の転生(だと思われる)青年を見つけるところから物語が始まる。そして本多が自分自身で悪だと思う自分の自意識と全く同じものを持つ、人並み外れて賢く、虚無感と諦念を含んだ悪意で世界を眺める透が中心と[…] 続きを読む
本 11 6月 2007 三島 由紀夫 『暁の寺』 (『豊饒の海』 第三巻) ISBN:4101050236 『豊穣の海』シリーズ第三巻『暁の寺』を10日ほどかけて読了。 前半は唯識を中心とした、ヒンズー教と混ざり合った仏教思想の話が、タイとインドを主な舞台として語られ、後半は58歳になった本多の倒錯した性的な冒険と言うか企ての物語である。 タイの「ワット・アルン」を指している『暁の寺』が舞台という事やけど、これが出てくるのは前半少しだけ、松枝清顕の転生したタイの王女ジン・[…] 続きを読む