カズオ イシグロ 『わたしを離さないで』

カズオ イシグロ 『わたしを離さないで』

ISBN:4152087196 長崎県出身の日系イギリス人で、ブッカー賞作家であるカズオ・イシグロの2005年に出版された『わたしを離さないで』を読了。 内容は「介護人」や「提供者」で仄めかされる秘密を中心に、その秘密ゆえに色づけされる、ある施設の子供達の成長物語である。 直接の物語として話される内容が余りにもありがちでどこにでもある物語であるだけに、逆にそれがその秘密とのコントラストで重くのしか[…]
シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』

シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』

ISBN:4900833193 ISBN:4900833207 この間の送別会で同僚の某氏がブロンテ姉妹大好きっ子だという事が判明し、中でも一番は『ジェーン・エア』との事なので、久しぶりに読んでみるかという事で読んでみた。 過去に一度読んだ事はあるけど、読み直すのはかれこれ15年以上ぶりになるかと思われる。 読んだのは、昨日返却に行った時にたまたま図書館にあった、発行所:京都修学社 発売元:英伝社[…]
ジョージ・エインズリー  山形 浩生 (訳) 『誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか』

ジョージ・エインズリー 山形 浩生 (訳) 『誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか』

ASIN:4757160119 この本を読もうと思ったのは、本の内容が面白そうというのもあるけど、結局、訳者が山形浩生だからという事になるのだろう。 柴田元幸などと同じように、この人が訳したいと思うなら間違いないやろうというところか。 酒やタバコ、ギャンブルや浪費、はたまたダイエットや勉強の挫折など、目先の欲望にとらわれて結局は損をして後で後悔するのがわかっていても自滅的な行動を取ってしまう経験は[…]
J・M・クッツェー 『ダスクランド』

J・M・クッツェー 『ダスクランド』

ISBN:4883190293 ジョン・マックスウェル・クッツェーのデビュー作である『ダスクランド』を読了。 タイトルの意味は「薄暗い国」或いは「斜陽の国」というところだろう。 本の構成は綿密な計算と練りに練った構成を感じさせる二部構成になっている。 ベトナム戦争での架空の「神話作成部門」なるプロパガンダに関する部隊に所属する構成員を、主に彼の自意識のレベルで描いた物語が前半で描かれ、 後半では南[…]
池田 晶子 陸田 真志 『死と生きる―獄中哲学対話』

池田 晶子 陸田 真志 『死と生きる―獄中哲学対話』

ISBN:410400104X ちょうど一ヶ月ほど前に死去した池田晶子と、拘留中の死刑囚である陸田真志の往復書簡を集めた本である。 この本が出版されるに至った事の発端は池田晶子の著作を読んで感動した陸田真志が出版社に対して礼の手紙を書いた事に始まる。 体裁が陸田真志の文章を池田晶子が助言して導いていくような形になっているけど、メインは陸田真志の展開する思考になるのではないだろうか。 人を殺し金を奪[…]
都筑卓司 『マックスウェルの悪魔』

都筑卓司 『マックスウェルの悪魔』

ISBN:4062573849 著者の都筑卓司は入門書やら啓蒙書を多く書いている統計力学の研究者であるけど、読めばわかるとおり話も文章も面白く上手でしかもわかりやすい。 この本は初版が1970年発行と結構古く、今では名著とかベストセラーとか古典のような扱いであるようだ。 ブルーバックスということで一応科学に関する本なのやけど、出だしのプロローグから長屋のバラックだの母ちゃんのいない父子だのと、プロ[…]
ポール クルーグマン 『クルーグマン教授の経済入門』 (訳 山形 浩生 )

ポール クルーグマン 『クルーグマン教授の経済入門』 (訳 山形 浩生 )

ISBN:4840200017 この間の某銀行レディとの会話と上司との対話でちょっと経済に興味を持ち始めたところで、やたらと評判の良い、しかも山形浩生がべた褒めして翻訳までしているこの本を読んでみることにした。 著者のポール・クルーグマンはその筋ではとてつもない著名人であり、スタンフォード、MIT、プリンストンの教授を歴任し、大統領経済諮問委、IMF、世銀、EC委員会のエコノミストを務める、ノーベ[…]
ポール オースター 『ティンブクトゥ』

ポール オースター 『ティンブクトゥ』

ISBN:4105217119 ポール オースターの『ティンブクトゥ』を読了。 普通なら表紙を見た時点で絶対に読もうとは思わないけど、ポール・オースターと柴田元幸コンビ、あとネットでもそこそこ評判が良いようで読む事にした。 オリジナル版は1999年に、柴田元幸の手になる翻訳は2006年の9月に出版された。 内容は、はたから見ればただのホームレスに過ぎない放浪の詩人である主人に先立たれた犬が、犬の視[…]
アン ファイン 『チューリップ・タッチ』

アン ファイン 『チューリップ・タッチ』

ISBN:4566024008 YA本(ヤングアダルト)という十代の読者向けのジャンルがあるのを最近初めて知ったのだが、この『チューリップ・タッチ』はそのYA本でも、図書館の資料区分は「児童」となっているくらいの、どちらかというと児童書になるらしい。 作者が児童文学者ということで児童文学の枠に入れられたのではなく、最初から児童書として書かれた本のようである。 私は児童書を読む事はほとんどないけど、[…]
ポール オースター『ミスター・ヴァーティゴ』

ポール オースター『ミスター・ヴァーティゴ』

私のお気に入りの作家の一人であるポール オースターを久しぶりに読んだ。 彼の小説は『リヴァイアサン』を最後に読んでいなかったけど、この『ミスター・ヴァーティゴ』はその二年後の1994年に出版されていたらしい。 ストーリーを要約すると、1920年代後半、世を拗ねた不良少年の孤児ウォルトは、イェフーディ師匠と出会い「空を飛ぶ」修行を始めた。 波乱万丈の人生、色々な出会いと別れを老人となったウォルトが昔[…]
PAGE TOP