「シャイニング」(1997/米) 「プレスリーVSミイラ男」(2002/米)
タイトルに釣られて「プレスリーVSミイラ男」を、ずっと前から見たかったスタンリー・キューブリックの『シャイニング』を観た。
「プレスリーVSミイラ男」は好きな人にはたまらんらしいブルース・キャンベルが主演であり、名作の誉れが高い「シャイニング」はジャック・ニコルソンの演技と共に古典的なネタの宝庫であろう。
「プレスリーVSミイラ男」は医療老人ホームに夜ごと現れる全米各地を巡業していた”ミイラ展”から逃げ出したミイラ男を倒すべく、そっくりさんと入れ替わっていたプレスリーと暗殺から逃れて脳の半分をホワイトハウスに置いてあるというJFK(なぜか黒人の老人)が立ち上がる。という感じのストーリーである。
しかしながら前半半分はプレスリーとJFKが生老病死を切々と語るだけ。申し訳程度に巨大スカラベが出てくるがミイラ男ぜんぜん出てこんやんけー「プレスリーVSミイラ男」にしんみりさせられてどうすんねん…
そして後半、いよいよ姿をあらわそうとするミイラ男を、ダークスーツで車椅子に乗ったJFK、純白のジャンプスーツに身を包んで歩行器にすがるプレスリーが、それぞれの正装で待ち受ける。
車椅子アクションによる高齢者バトルを期待していたけど「え~っ」何よりも最後のシーンで「え~っ」であった。
この「え~っ」はB級テイスト満載の中途半端さゆえであるけど、最初からB級バカ映画として観ているので、なかなか面白かったように思う。
「プレスリーVSミイラ男」と同列に書くのも何やけど、スタンリー・キューブリック『シャイニング』を観た。
妻娘を惨殺して自身は自殺した従業員がいるいわくつきのホテルを、雪深い冬に閉鎖されている間だけ管理するために家族とともに移り住んだ一家。
雪に塗り込められ、外界と遮断された一家をだんだんと狂気が蝕み始める。
一応ホーラーと言う事やけど、ジャック・ニコルソンの演技が怖すぎて可笑しい。斧をせっせとドアに打ち込む姿はなんとも可笑しく、DVDのタイトルになっているシーンや最後のシーンで大笑いした。良く考えれば、ジャック・ニコルソンの顔が可笑しいのかもしれない。
私に言わせれば顔だけで笑わせるのは卑怯である。
しかしながら、怖さで言えばジャック・ニコルソンよりもその妻の方が怖かった。普通に喋ってるだけのはずやのに変に怖い顔やし、バットや包丁持って泣き叫ぶところはゾクゾクする。
こちらのほうも顔だけで怖がらせるのは卑怯である。
この映画はスティーブン・キングが観て「これは酷い」と自分で撮り直したくらいに原作から逸脱しているらしい。
たしかに、原作では生かされているのやろうけど、超能力の意味の「シャイニング」も危機を感じてホテルに現れる料理人も意味無さすぎである。そりゃジャック・ニコルソンの顔を観る映画になってるもんねぇ。
「スターシップ・トゥルーパーズ」同様、原作を無視するってのはバカ映画の王道であろうか。
しかし、ホラーやのに「2001年宇宙の旅」を思い出させるほどやたらと画面が鮮明で非常に凝った作りであるのを感じたし、このへんはキューブリックぽいというところであり、B級には無い手抜きの無さというところであろうか。
A級のバカ映画である「シャイニング」はとても面白かった。
ってバカ映画扱いしたら怒られるがな。