ミヒャエル・ハネケ 「ベニーズ・ビデオ」(1992/オーストリア=スイス)
2008年2月28日
この間ミヒャエル・ハネケのデビュー作である 「セブンス・コンチネント」を見てとっても怖かったのだが、続いて彼の二作目の監督作品である「ペニーズ・ビデオ」を見た。
何でも前に見た「セブンス・コンチネント」とこの映画、そして次の作品である「71フラグメンツ」とあわせて「感情の氷河化三部作」と呼ぶらしいのでとりあえず見とこうか。という感じである。
ストーリーは裕福な家庭の一人っ子で鍵っ子のビデオオタクの少年が、道で知り合って家に呼んだ少女をものの弾みで屠殺用の銃で殺してしまう。少年はその一部始終を撮ったビデオを両親に見せて…という感じである。
と書くとスプラッターでスナッフなのを想像するけど、実際は殺人シーンもフレーム外で行われて直接は映っておらずひたすら物語りは淡々と続く。
直接的な映像は無いものの、少年が少女を殺してしまう所はちょっとありえんくらいに怖い。
この監督の描く恐ろしさというか怖さというのは見ている我々が何時でも自分の事として同じ状況で同じ領域に踏み入ってしまう可能性を多分に示唆しているところにあるような気がする。
前に見た「セブンス・コンチネント」の絶望しかり、この映画の「ものの弾みの殺人」とその後の行動も理解できるが故になんとも言えない怖さで迫ってくる。
前作同様に「絶望した母の嗚咽」が相当にきつい映画であった。