映画 21 4月 2023 映画『Winny』/プログラムは自分自身の表現だ 先日映画『Winny』を観て来た。映画を映画館で観たのは久しぶりだ。 IT業界に身を置き、技術者であり開発者であり、そして当時を知る私にとってとても面白い映画だった。 この映画の言いたいことは、つまるところwinnyは当時世界をリードしていた技術が搭載されており、その開発改良を国家権力によってストップさせたこと、金子氏の開発者としての活動を7年も裁判で縛り付けて停止させたことは大きな国家的損失であ[…] 続きを読む
本 23 9月 2022 『〈わたし〉はどこにあるのか 』マイケル・S・ガザニガ 運命論を科学的に否定する せっかくブログもリニューアルしたことなのでここしばらくでとても面白かった本のことについてでも書こう。 「認知神経科学」であるマイケル・S・ガザニガ の『〈わたし〉はどこにあるのか――ガザニガ脳科学講義』で、著者によるギフォード講義の内容を本にしたものである。 原題は"Who's in Charge? Free Will and the Science of the Brain"で、「責任はだれにあ[…] 続きを読む
映画 23 6月 2022 岡崎京子映画を一通り観た 私は岡崎京子の漫画が大好きで出版されているものは一通り読んでいて、それらの漫画を原作にした映画も一通り見ているので感想を書いておく。 原作が有名なものからマイナーなものまで、 原作に忠実なものから明らかに違う世界になっているものまで、 映画化されたものもいろいろである。といっても4つだけやけど。 これもFilmarksに投稿したものの抜粋で並び順は映画として新しい順。 「ジオラマボーイ・パノラマガ[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 5 3月 2018 ヒトが求めるもの グイン・サーガと物語と利己的な遺伝子 ここ2年くらい前から新刊が出ているのにあまり読む気にならずスルーしていた『グイン・サーガ』なる小説を先日再び読み始めた。 この『グイン・サーガ』なる小説は当時はそんな区分もなかったけど、今で言えばヒロイック・ファンタジーとライトノベルをあわせたようなジャンルになるであろう、1979年に第一巻が出版されてから現在に至るまで142+26巻以上からなる世界でも類を見ない長大なシリーズとして続いている。 […] 続きを読む
本 27 10月 2017 『深い河』の『リバーズ・エッジ』 今年の夏に初めて遠藤周作の『深い河』を読んだ。 大雑把に言えば様々な人生の重みやら苦悩やらなんやらを抱え込んだ主人公たちがそれぞれのテーマを抱いてインドへのツアーに参加し、清濁が混ざり合い混沌としたインドやらガンジスやらヒンズーやらに身を置くことで、人間とか生とか死とか愛とかいったような、いわゆる宗教的、哲学的と呼ばれるようなテーマに向かい合う様を描く物語ということになろうか。 確固とした文芸的ポ[…] 続きを読む
ミュージアム 23 8月 2016 「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」@伊丹市立美術館 岡崎京子とニーチェとバタイユとフェミニズム 伊丹市立美術館で開催されている「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」に行ってきた。 結構マイナーな展覧会らしくあまり情報がなく、この春に世田谷文学館で開催されてから、夏に私の行った伊丹市立美術館と冬に福岡県で開催されるだけであるようである。 この展覧会では岡崎京子がまだ子供時代だった頃に戯れに描いたイラストから、学生時代に掲載された作品に始まり、書籍化されている代表作の原画だけではなく、単行本化さ[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 25 4月 2016 あれから10年も、この先10年も 半年間このブログを放置していたけど、それでもずっとこのブログのことはそれなりに気にかけてはいた。 しかし気がつけばこのブログを書き始めて10年も経っていて、いったいこの10年間は何だったのだろうかとw もうずっとブログを書くにも書こうと思う事がそれほどなかった。と思いつつも、ほぼ毎日更新していたころは何について書くかを決めてから書き始めていたのではなく、とにかく何でもいいから書き始めているうちに何[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 10 10月 2015 猫パンチが暴力に見えないように、雑草は遷移する。 今年もノーベル残念賞だった村上春樹の初期の作品を先日から読んでおり、今は『羊をめぐる冒険』の終盤に差し掛かったところ。 SISBN-10: 4062749122 村上春樹はこの『羊をめぐる冒険』の続編である『ダンス・ダンス・ダンス』あたりから失ったものやら隠されているものやらを「取り戻す物語」にシフトしてゆくような印象を私は持っており、彼がノーベル文学賞候補になるほどに評価されているのも、どちらか[…] 続きを読む
本 7 10月 2015 ポール・オースター『最後の物たちの国で』/絶望のひとつの形 かなり昔に読んで圧倒的に強烈な印象を受けて何度も読み返そうと思っていたにも拘らず、あまりにも絶望的な内容を読むのが辛くて気が乗らず、一回しか読み直していないポール・オースター『最後の物たちの国で』を久しぶりに読み返してみた。 内容は中上流階級の主人公アンナが、記者の兄が取材のために入って消息を立った国に単身乗り込むが、あらゆる秩序と未来が消えたその町で兄を探すことも帰ることも出来なくなり、野宿やら[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 6 10月 2015 ベートヴェンの「嘆きの歌」はチープであることに意味がある。 先日手足口病になってとても苦しかったと言う話を書いたけど、やっと回復して普通の状態に戻ったなと思ったら気管支炎になった。 寝転ぶと痰が詰まって息が出来ないので寝ることが出来ず、辛いのに寝ることが出来ないというかなりきつい状況。 そして少しでも動くと呼吸量が増えて息苦しくてたまらないので、座ってゆっくり息をしている以外に何も出来なかった。 もう殆ど強いられた座禅みたいなものである。 二日目になってち[…] 続きを読む