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2008年6月21日

映画:日本のいちばん長い日/スピード感あるドキュメンタリー

amazon ASIN-B0007W7GPS先日の「血と砂」とセットで借りてきた岡本喜八の日本のいちばん長い日 (1967/日)を観た。
現場の前線の下士官と兵卒を描いた「血と砂」とはうって変わって、こちらは当時の日本の最高権力者達の物語であり、ポツダム宣言を受け入れて戦争の終結を決定した8月14日正午から、翌15日の玉音放送までの24時間の、政府首脳にとっての激動の時間を追ったドキュメンタリーである。
連合国からのポツダム宣言受託の勧告に対する黙殺を拒絶と捉えられ、広島、長崎に原子爆弾を投下されるにいたり、首脳陣は戦争を無条件降伏によって終結させる事を決定する。しかし日本国にとって史上初めての敗戦となった太平洋戦争の終戦決定の手続きは煩雑を極める事となる。
北海道をソ連に取られない内になるべく早く終戦を向かえようと尽力する政府首脳陣と、ポツダム宣言受諾を屈辱として戦争継続の為に「宮城事件」となったクーデターを画策する青年将校たちと、その板ばさみに苦しむ陸軍大臣の三船敏郎の三つの視点がこの映画の一応の主軸であろうか。


とは言っても、この映画は東宝の35周年記念作品で、後の東宝名物「8,15シリーズ」と呼ばれる事になる第1弾ということで気合入りまくりで、主役級の俳優が大量に出演して、主役から端役に至るまで一部の隙も無い。
降伏を不服として志願者や市民の小隊を組織して総理大臣を襲撃する横浜警備隊長の天本英世のぶっ飛んだ演技と、房総沖に迫った敵艦隊を迎撃すべく終戦が間近である事を知りながらも特攻隊を出撃させる何とも言えない表情の児玉基地司令の伊藤雄之助の両極端の演技が端役の中で一番印象的だった。
本物の皇居の門前で果てる黒沢年男を筆頭とする青年将校達のあまりに暑苦しい演技や、三船敏郎のなかなかにゾクゾクするほどの切腹シーンなど見所はたくさんあるけど、なるほどこうやって戦争を終わらせたんやなぁ。という感慨を観ていて受けた。
一個の思想を妄信して取り付かれたように周りを巻き込みながら破滅への道を歩む青年将校たちの言動が、三島由紀夫ちっくに純粋であるからがゆえであるところがとても怖かった。
全然岡本喜八っぽくない重厚な映画やけど、こんな映画も撮れるんやと、岡本喜八の懐の深さにかなり感服した。そしてそれがえにエンドロールで流れる戦死者や被災者や経済的損失の数字が重みを持ってくるのだろう。
二時間半超という結構長めの映画やけど、ナレーションとテロップというドキュメンタリーな手法にやたらと多用されるカットバックがあいまって、とてもスピード感がある情報量の多いドキュメンタリーという不思議な雰囲気になっていた、男しか出てこない、余りにも暑苦しい映画であった。

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