映画:デヴィッド・リンチ 「ワイルド・アット・ハート」 / 恋愛至上なバカップル童話

amazon ASIN-B00005R232前日に感想を書いた「X-312 フライト・トゥ・ヘル 」と一緒に借りて来た「ワイルド・アット・ハート」(1990/米)を観た。
私の観た同監督の作品の公開時期としては1986年の「ブルーベルベット」と1997年のロスト・ハイウェイの間という事になる。
デヴィッド・リンチの映画ってのは絶対見ても訳わからんわと思いつつも、見つけるとついつい借りて見てしまう。
しかしながらこの映画は訳のわからなさはほとんど無く、ストーリはとてもわかりやすい。
ストーリーは恋人のパーティとの帰りにナイフで襲ってきた傍観を逆に返り討ちにして殺してしまったニコラス・ケイジ演じる主人公が、出所後にやたらと自分と別れさせて娘を束縛しようとする恋人の母から逃れるべく、恋人と車に乗って遠くへ走り続けるといったロードムービーな感じの、頭の悪いバカップルの逃避行の物語で、全体を通して「オズの魔法使い」のモチーフが一杯である。


流石にデヴィッド・リンチっぽく、頭のおかしな人たちがそこかしこに出てくる。
主人公たちもおかしいと言えばおかしいけど、どちらかと言うとおかしいというよりは頭が悪そう、という感じであろうか。
登場人物は誰一人として普通で無く、全員が何らかの方向に極端に偏っていて、主人公とその彼女を除く全ての人が狂っているのはすばらしい。
主人公二人がバカながらも、欲望の方向だけでなく倫理的にもかなりまともであるのがこの映画のバランスを保っていたのだろう。彼らまで狂人であったら本当に収拾のつけようもなさそうだ。
主人公達の恋愛”だけ”を至上のものとする、平安時代の和歌の如き価値はとてもわかり易い。
この映画が全編を通して「オズの魔法使い」のモチーフに満ちていたけど、この映画も同じように恋愛を至上とする一つの童話とも言えるだろう。
狂気とか夢とか人間の複雑さを描く事の多いリンチやけど、この映画は逆に人間の単純さが良く現れていたように思う。
しかしながら、デヴィッド・リンチの描く狂気が大好きだ。

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