南条あや『卒業式まで死にません』/「人を知る」ということについて

南条あや『卒業式まで死にません』/「人を知る」ということについて

ISBN-10: 4101420211 南条あや『卒業式まで死にません』を読んだ。 この「南条あや」なる人物はリストカット系ネットアイドルだとかカリスマリストカッターだとか呼ばれて一時期とても話題になった人である。 高校生である彼女はタイトルにもなっている「卒業式まで死にません」を口癖のように使っていたが、卒業式が終わってしばらくして、一人で入ったカラオケボックスで薬をオーバードーズして死んでしま[…]
芦崎治『ネトゲ廃人』/私が寝ても誰も死なないこんな世の中じゃ、FF ELEVEN♪(早口で)

芦崎治『ネトゲ廃人』/私が寝ても誰も死なないこんな世の中じゃ、FF ELEVEN♪(早口で)

ISBN-10: 4903722163 最近本読みスイッチが入ったようでひたすら軽い目の本を読みまくっている。 まずは、芦崎治の『ネトゲ廃人』の感想をば。 「ネトゲ廃人」は「ネットゲーム廃人」の省略で、オンラインのネットゲームにはまりすぎて廃人のようになっている人を指すネットスラング的な言葉である。 はまるといっても普通に趣味に没頭するようなイメージで想像されるものではない尋常じゃないはまりかたで[…]
『鏡の中の少女』『鏡の中の孤独』/家族問題はテュラテュララ

『鏡の中の少女』『鏡の中の孤独』/家族問題はテュラテュララ

ISBN-10: 4087601285 ISBN-10: 4087602095 先日スティーブン・レベンクロンの自傷に関する二冊の本『CUTTING リストカットする少女たち』と『自傷する少女』を読んだが、今度は拒食(や過食)などの摂食障害に関する本である『鏡の中の少女』『鏡の中の孤独』の2冊を読んだ。 両編ともノンフィクションではなく小説で、『鏡の中の孤独』が『鏡の中の少女』の続編ということにな[…]
スティーブン・レベンクロン『CUTTING リストカットする少女たち』『自傷する少女』/治療と教育と修行と悟りと苦悩についてのエトセトラ

スティーブン・レベンクロン『CUTTING リストカットする少女たち』『自傷する少女』/治療と教育と修行と悟りと苦悩についてのエトセトラ

ISBN-10: 4087604799 ISBN-10: 408760361X スティーブン・レベンクロンの『CUTTING リストカットする少女たち』と『自傷する少女』を読んだ。 著者のスティーブン・レベンクロンは摂食障害や自傷の患者を扱う心理療法家、或いはセラピストであるが、拒食症の少女を描いた『鏡の中の少女』を小説の形で世に発表し、それが世界的ベストセラーとなった。 現在、彼の本は摂食障害の[…]
泉鏡花:『夜叉ヶ池・天守物語』 /人間は妖怪か / 早く妖怪になりた~い

泉鏡花:『夜叉ヶ池・天守物語』 /人間は妖怪か / 早く妖怪になりた~い

ISBN-10: 4003102738 泉鏡花の二つの戯曲『夜叉ヶ池』と『天守物語』の入った二つの岩波文庫『夜叉ヶ池・天守物語』を読んだ。 読んだのは少し前の夏真っ盛りの暑い日であったけど、今更のように感想などを書く。 何故か私は余り日本文学は読まないけど、この本を読んでこの本の中の世界に浸っていると、日本語の美しさはもちろん、物語り全体が醸し出す幽玄ともいうような美しい感覚が染み渡ってくる。 こ[…]
阿部和重:『ピストルズ』 / 『ピストルズ』と『西の魔女が死んだ』と『北斗の拳』と

阿部和重:『ピストルズ』 / 『ピストルズ』と『西の魔女が死んだ』と『北斗の拳』と

ISBN-10: 4062161168 阿部和重の『ピストルズ』を読んだ。 何でもこの本はついこの間に第46回谷崎潤一郎賞を取ったらしい。 谷崎潤一郎賞と言えば、大江健三郎『万延元年のフットボール』、村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』などと私の中でかなり好きな本が多い賞というイメージがある。 『シンセミア』を読んでから一気に好きになった阿部和重であるが、この『ピストルズ』はその[…]
都築響一/『珍日本紀行』と『珍世界紀行 ヨーロッパ編』と『巡礼~珍日本超老伝~』/現実と地続きの非現実

都築響一/『珍日本紀行』と『珍世界紀行 ヨーロッパ編』と『巡礼~珍日本超老伝~』/現実と地続きの非現実

都築響一の本を三冊ほど読んだ。 ISBN-10: 4480426396 ISBN-10: 489366641X 『珍日本紀行』と『珍世界紀行 ヨーロッパ編』と『巡礼~珍日本超老伝~』である。 前の二冊は、メージャーでメディア露出の多いような場所ではなく、マイナーではあれど妙にエネルギーに満ちているような場所が紹介されており、最後の一冊はそして世間の価値や視線から孤立して、正常と異常の境目すらあいま[…]
村上春樹『1Q84 book3』/物語というよりメッセージ/色々な意味で肥やし

村上春樹『1Q84 book3』/物語というよりメッセージ/色々な意味で肥やし

ISBN-10: 4103534257 先日、村上春樹の『1Q84 book3』を読み終えた。 一気に一日で読んでしまうのではなく、ちょっともたついて読み終わるのに二日かかったのは、Book1とBook2の内容を殆ど忘れていたので回収されつつある伏線やら人やらを思い出したり調べたりするのに時間がかかったせいである。 (BOOK1、BOOK2の感想はこちら) このBOOK3は本来書かれる予定はなかっ[…]
都築響一 『夜露死苦現代詩』/ストリート系、或いは市井系現代詩

都築響一 『夜露死苦現代詩』/ストリート系、或いは市井系現代詩

どの本を読むかを決めて本を借りに図書館に行くのではなく、新着図書やらちょっと気になりそうな棚の辺りをぶらぶらしながら本の背表紙を眺めていると、普通なら借りようと思わないような意外に面白い本にめぐり合うことが多々ある。 例えば、以前借りて面白かった雨宮処凛などは、目の前で直ぐ手に取れる状態になければちょっと読んでみようかという気にはならなかっただろう。 ISBN-10: 4480427023 そして[…]
ERIC : 中国好運/ノスタルジックにカオスに笑える

ERIC : 中国好運/ノスタルジックにカオスに笑える

ISBN-10: 4903545385 以前「ほぼ日刊イトイ新聞」のこの記事を読んでから読みたくて読みたくてしょうがなかった写真集『中国好運』をやっと読むことが出来た。 この写真集は香港生まれの著者が、初めて中国に渡って、北京オリンピックに沸く人々を撮ったものである。 ご覧の通り、基本的に載っている写真は笑えるものばかりなのだが、意外にも本の最後には、香港生まれの香港育ちの彼にとって、この写真を撮[…]
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