平野啓一郎 『葬送 第二部』

平野啓一郎 『葬送 第二部』

『葬送 第二部』を読み終えた。 ショパンが久しぶりに多くの聴衆の前で行う演奏会から二部が始まり、二月革命のあおりを受けてイギリスへ旅立ち、体調を崩してフランスに帰り、姉と友人たちの見守る中息を引き取る場面で物語は終わる。 一般的には中々好意的な感想が多く、重厚で骨太な正統派の小説であるという意見が多く見受けられるが、webで見る限り発売された当初の大掛かりな取り上げられ方に引き換え、それほどは話題[…]
ナディン・ゴーディマ『ゴーディマ短篇小説集 JUMP 』

ナディン・ゴーディマ『ゴーディマ短篇小説集 JUMP 』

長編を読み進む合間に骨休め的にナディン・ゴーディマの『ゴーディマ短篇小説集 JUMP 』を読んだ。 著者は南アフリカのユダヤ系白人の女性作家で、1991年のノーベル文学賞を受賞している。 白人側の立場にありながらも一貫して反アパルトヘイトの立場を取り続け、著作が発禁にもなった多作な作家で、短編小説の評価が高いとされているらしい。 この本はノーベル文学賞受賞後に書かれた短編集で、人種隔離政策が全廃さ[…]
平野啓一郎 『葬送 第一部』

平野啓一郎 『葬送 第一部』

平野啓一郎の三作目の長編『葬送 第一部』を読む。 553ページと恐ろしく長い本だが、第二部は700ページ超と更に長い。あわせて原稿用紙2500枚の大作と言うことらしい。 19世紀半ばの二月革命前後のパリを舞台にフレデリック・ショパンを中心にして、その友人ウジェーヌ・ドラクロワ、その愛人のジョルジュ・サンドの三人の芸術家たちを主軸に物語が展開する。 彼のデビュー作である『日蝕 』や二作目の『一月物語[…]
アゴタ・クリストフ 『昨日』

アゴタ・クリストフ 『昨日』

『悪童日記』三部作に続く、アゴタ・クリストフの四作目の小説となる 『昨日』を職場の図書館で借りて読む。ものの数時間で読み終わりちょっと量少ないぞコノヤロー。 内容は悲惨な家庭環境と祖国を捨てて逃げ出し、異国で工場労働者として孤独に暮らす、理想の女性を夢見る青年の物語。 と言うとありきたりやけど、流石にアゴタ・クリストフだけあって、「死こそ安らぎ」的な心象風景と、「何も感じない何も見えない」的な冷た[…]
ミラン・クンデラ『冗談』

ミラン・クンデラ『冗談』

ミラン・クンデラ『冗談』を朝起きた瞬間から読み始め、夕食後に読み終わった。 いつぞやのエントリに書いた「図書館司書の精」のような女性に教えてもらった図書館の棚から借りてきたもので、分厚い二段組のハードカバーであったけど、とても面白かったので一気に読んだ。 『存在の耐えられない軽さ』や『不滅』と比べて、ストーリーテリングで読者を乗せてどんどんドライブして行く感じの、王道の小説作法に則った本でとても読[…]
阿部和重『ニッポニアニッポン』

阿部和重『ニッポニアニッポン』

阿部和重『ニッポニアニッポン』を読んだ。 この本は第125回芥川賞候補作となった作品で、2001年に単行本が発売された。 「神町サーガ」の一つを成す物語で、時系列で並べれば、依然読んだ『グランド・フィナーレ』の前の物語にあたる。 アマゾンでは 「17歳の鴇谷春生は、自らの名に「鴇」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている。俺の人生に大逆転劇を起こす!―ネットで武装し、暗い部屋を飛び出して[…]
稲垣足穂『一千一秒物語』

稲垣足穂『一千一秒物語』

稲垣足穂『一千一秒物語』を読了。 著者は1900年生まれで1977年没、1971年には社会現象となるほどにもなったらしい。 某上海氏に薦められて読むまで全く知らん人やったけど、上司の一人は全集を持ってて、そのまた上司も当たり前のように喋ってるし、父は桃山に住んでた奴でえらい高い本があるらしいでと言う。知らぬは俺ばかりで自分教養の薄っぺらさや偏りを自覚する。いや。時代のズレだと思っておこう。 で、こ[…]
エーリッヒ・フロム『愛するということ』

エーリッヒ・フロム『愛するということ』

だいぶ前に古本屋から連れて帰ってきたまま肥やしになっていたエーリッヒ・フロム『愛するということ』を昨日と今日で読了。 彼はフランクフルト学派の新フロイト派、フロイト左派とか分類されるユダヤ系ドイツ人の社会心理学と言うことになるんやろうけど、後年は仏教や禅の研究にも勤しみ、鈴木大拙とも関わりが深かったらしい。 タイトルと装丁と帯はかなり恥ずかしい痛い系の本のようでイヤイヤだが、オリジナルが1956年[…]
ボリス・ヴィアン 『日々の泡』

ボリス・ヴィアン 『日々の泡』

ボリス・ヴィアン 『日々の泡』を読んだ。 フランス人である著者のボリス・ヴィアンは39歳で死に、生前は作家と言うよりはジャズトランペッターや作詞家、歌手としての方が有名だったように、生前の彼の作品は誰にも見向きされなかったが、死後にコクトーやサルトルやボーヴォアールによって発掘されて人気と名誉が回復した。と言うことになるらしい。 この本のオリジナルは1947年にフランスで刊行され、今から36年前の[…]
texではまる 日記/雑記/妄談

texではまる

午前中バタバタ、午後からコード書き。 色々と機能を追加して、一番簡単だと思われた部分でハマった。 pdfに出力するためにtexを使っているのだが、アルファベットや数字は問題ないのに、日本語だけ \LAGE とか \small で文字サイズが変わらない。 windows上の角藤版pTeXでは問題なく動くがunix上で上手くいかない。 フォントの問題かと推測してRyuminフォントを使わずに小塚明朝を[…]
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