ピエル・パオロ・パゾリーニ 「ソドムの市」 / エログロ金字塔バカ映画
ピエル・パオロ・パゾリーニの遺作である「ソドムの市」(1975/仏=伊)を観た。
マルキ・ド・サドの『ソドム百二十日あるいは淫蕩学校』を原作とするエログロ満開の映画であり、原作の18世紀のスイス山奥の城館の設定を20世紀のイタリアとしてある。
大統領・大司教・最高判事・公爵の最高権力者の四人が新しく強引に制定した条例によって町中の美男美女を集め、その中から更に選りすぐった9人ずつの男女が秘密の館につれてゆかれ、4人の権力者のために、三人の語り婆、一人のピアニスト、数人の少年警備員と共にあらゆる淫蕩と変態行為の対象となる。てな話である。
映画の中ではエログロの方向性でかなり名高い作品であり、観るに耐えん、吐きそう、気分が悪い、カレーが食べられなくなる。などなどある意味では有名な作品である。前からどうすっかなーと思ったいたのだが、とりあえずある方向性では有名やんねんから見ておくかということで頑張って借りてきた。
大抵こういう系統の映画を真面目に観てしまうと面白くないばかりか嫌な気分になるだけなので、最初からコメディーとしてみる自己防御が必要だろう。なら観るな、という気がしないでもないけど…
しかし、「少年少女と4人の高貴な人を興奮させるため」という趣旨で行われる語り婆の語りが中々わらける。
濃い化粧と派手なドレスに身をつつんだおばちゃんが、バックのピアノにあわせて踊りながらエロ話を披露するのやけど、もう笑けて笑けて。
なかでも 第二章の「変態地獄」ヴァッカーリ夫人の満面の笑みから繰り出されるエロ話と踊りが笑けてしょうがない。
第三話「糞尿地獄」のマジ夫人と、第四話「血の地獄」のカステリ夫人の話は踊りながらなに言うてんねんという状況で笑えるけど、話自体がちょっとエグいのでいまいち。
しかしこのお三方がエロ話をするときのなんと楽しそうなことか。
映画は結局、何じゃそら?という終わり方をするのやけど、最初は、おっさん4人と少年少女たちが秘密の館でエロを満喫するのだと勝手に思っていたところ、少年少女たちは最後の最後まで嫌がっていた。このあたりはなんともいただけないし、おっさん4人は何をするにも語り婆やら少年警備隊にやらせて、結局人に頼らんとなんも出来んのかと。
結局おっさんたちは楽しそうなんか苦しそうなんか良くわからんかったし、一番楽しそうなのはピアノに合わせて踊りながらエロ話を披露するおばちゃんたちだったような気がする。
なんかこの権力者四人と少年少女たちは、搾取する物とされるものの関係を暗喩しているとか何とかネット上に書いてあったけど、そりゃそのままやん。
全体的に見てなんか良くわからん映画やった…