「バイオハザードⅢ」 / 綾波・ケンシロウ・ミラ・ジョヴォヴィッチ / 新旧ハイブリッドヒーロー像

amazon ASIN-B0012KL5B0一年ほど前に公開されたばっかりの「バイオハザードⅢ」 (2007/=英=独=豪=仏)であるが、邦題にない原題のサブタイトル「Extinction」が示すように、文明が「消滅」した後の、人類がほぼ「絶滅」した世界での物語である。
「Ⅱ」の後、一都市だけに収まらななかったT-ウィルスが世界中に広がったことで、人類のほとんどがゾンビと化し、都市機能の停止した世界は壊滅状態にあった。
わずかに生き残った人たちは武装して寄り集まり、ゾンビの群れを避けつつ、食料やガソリンを探しながら砂漠化した町から町へと渡り歩く暮らしをしていた。
一方、アンブレラの監視網を避けながらひっそり暮らしていた主人公は生き残った人をアンデッド化したカラスの大群から救う為に「力」を使ってしまい、彼女をアンデッド化した人をコントロールするための切り札だと見るアンブレラの研究者に場所を特定されてしまう。
といった感じである。


非力ながらもマッドマックスや北斗の拳のような世界の中で必死でタフに生きる一般人に引き替え、ミラ・ジョヴォヴィッチはあまりにも強すぎて同じ人間に見えない。もう顔までCG処理したように見えてしょうがなかった。
「Ⅱ」で人間離れした体術と戦闘能力を発揮したセガールかターミネーターかカムイのごとき彼女は、「Ⅲ」になるに及んで人間の域を大きく超え、「気」を使うわ人工衛星は壊すわ、フォースに目覚めるわと、スーパーサイヤ人やアキラの世界になっていた。ヤムチャなら指先一つでダウンに違いないし、恐らくアキラのナンバーズの子供たちにも勝てるだろう。
マッドマックスや北斗の拳やアキラ的な古典的終末後の世界の古典的救世主でもあるミラ様は、一方で人間を滅ぼしたモノそのものと融合することで新しく進化しつつも、「代わりはいくらでもいるもの」的な絶対的アイデンティティーの根拠がない存在でもある。
ケンシロウや孫悟空の如き絶対的で圧倒的な能力と実力を持つヒーローでありながら、綾波レイのように、テクノロジーによって最も忌むべきモノとのハイブリッドとして、いくらでもスペアがいるような存在として生み出され、自分の存在を絶対的な根底から他人に与えてしまうような、今までにないタイプの救世主であるところが新しいといえば新しい。
セカンドインパクトを引き起こした「使徒」と「綾波レイ」が融合することで「人類補完計画」がうだうだ…といった比較的新しい終末後の救済観と、ケンシロウによる「世紀末救世主伝説」的な古典的救済観のハイブリッドになるのだろうか。「バイオハザードⅣ」では敵の諸悪の根源の大ボスを目指しつつも「人類補完計画」やら「サードインパクト」やらといったことになるのだろうか?
全く関係ない話やけど、映画を見ていてミラ・ジョヴォヴィッチが履いていたようなエンジニアブーツ風のブーツが猛烈に欲しくなった。

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