映画:青髭 / 青髭危機一髪 / 昔ながらの婚活殺人

amazon ASIN-B002FWHFT0本当に久しぶりに映画を観た。あまりにも久しぶりすぎてレンタル屋さんで会員カードの期限が切れていると言われたくらいの久しぶりさである。
聞いたことのないカトリーヌ・ブレイヤなる監督の「青髭」と言うフランス映画で、グリム童話でおなじみの同作品の映画化ということであるらしい。
「青髭」と呼ばれる妻を次々と殺していると言う噂のある醜い金持ちの下に美人姉妹の妹が嫁ぎ、住居である城の最下層にある開けてはならぬ部屋を開けて、見てはならぬ殺された妻たちの死体を見た事で青髭に殺されそうになるも、助けに来た姉とその友人に助けられて危機一髪で青髭を討つ。と本当にそれだけの映画であった。
観た時点では元々の「青髭」のストーリーをまったく知らなかった上に、醜いという設定の青髭が全然醜くなく、姉のほうが美人であるという設定の姉妹の妹のほうがはるかに美人であったり、すべてが中途半端なまま回収される事なくあっけなく終わり、見終わった後はポカーンであった。
なぜ青髭が妻たちを殺していたのか、なぜ青髭は秘密を知られただけで新妻を殺そうとしたのか、新妻と青髭のお互いへの気持ちはどうだったのか?ありとあらゆる伏線とありとあらゆる謎がそのままで放置されたままに終わる。


しかし、よく考えてみれば、あまりにも深読みして、城を青髭の心であると考えてみれば、心の奥底で自ら葬った昔の妻の死体を、それを知る事が出来る鍵を持った新妻が見てしまうことは、青髭の勝手な言い分であるにはしても、彼が新妻を殺さずにはいられなくなるような事態に発展してしまうということでもあると考えると、このわけのわからん物語も一瞬にして男と女の何たらゲームなアダルトな色を帯びてくるのであった。さすが童話と言うところであろうか。
最後のシーンで首だけになった青髭の頬をなでるサロメのような新妻を見て、あーもうこれってやっぱり
フランス映画やーと感じた。
女と男の昔と今の恋人の扱いというのは、男が「名前をつけて保存」であるのに引き換え、女は「上書き保存」だとよく言う。
この「青髭」の物語で考えれば、新妻が青髭が最下層のディレクトリに暗号化して「名前をつけて保存」されていた過去の妻を見てしまい、怒った青髭に「名前をつけて保存」されようとするところを、逆に新妻が青髭を別の何かで「上書き保存」するために殺してしまったしてしまったと言えなくもない。
結婚にまつわる殺したり殺されたりを扱った話と言うことで、昔ながらの花婿が花嫁を殺す殺す話かと思えば、逆に花嫁が花婿を殺す話で、今をときめく「婚活殺人」と同じようなものである。
まぁいずれにせよ、青髭は何故妻を次々と殺し、挙句にそれを見た新妻まで殺そうとしたのか、そもそもなんでそんなところを見る事の出来る鍵を渡したりしたのか。新妻どころか見ている我々もさっぱり訳が判らない映画であった…



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