デヴィッド・リンチ「ブルーベルベット」(1986/米)
2007年12月12日
デヴィッド・リンチの「イレイザーヘッド」を観た次の日に、同監督の1986年の作である「ブルーベルベット」を観た。
ストーリーは父の病気のために帰省した大学生が野原で人間の耳を拾い、その耳の謎を解こうとする所から変な世界に巻き込まれてゆくというもので、「イレイザーヘッド」に比べればとても普通の映画に見えるけど、やっぱりこの監督はどうかしてると思わせるところは盛りだくさん。
デニス・ホッパーと無理やり彼の愛人にならされているベルベット彼女の変態具合が「うへぇ~」なんやろうけど、よく考えれば主人公の爽やか青年も中々の変態やと思う。
このくらい簡単にアブノーマルとノーマルを行き来するのはあまりにバランスが良すぎて逆に変態としか思えん。主人公のそこはかとない不気味さはその辺から来るのやろう。
映画自体も主人公同様にノーマルな部分とアブノーマルな部分の切り替わりの妙でなんとも言えん雰囲気であった。
「イレイザーヘッド」にあったようなカフカ的不条理さと不気味さはプロローグとエピローグともいえる最初と最後でとても強かったし、陰謀やら秘密にまみれたメインストーリーよりも、明らかにハッピーエンドな後日談であるエピローグの方がシュールな夢のように思える。
ストーリーとしてはサスペンス映画やねんけど、それだけじゃないあまりに混沌とした変な印象を残す映画であった。
この映画を見ると「イレイザーヘッド」はある意味でとても純粋な映画やってんなーと思った。
そういえば「スターシップ・トゥルーパーズ」を勧めてくれた昔同じ職場だった映画好きのY氏に「土偶君はデヴィッド・リンチとかええんちゃう?特にブルーベルベットとか?」と言われていたのを思い出した。確かにそうかも。