岡本喜八「座頭市と用心棒」 (1970/日)
岡本喜八「座頭市と用心棒」 (1970/日)を観た。
「少林寺 VS 忍者」から「プレスリー VS ミイラ男」まで「何々 VS 何々」なる系統の映画があるけど、これはレンタル屋で見かけて「むむ、絶対見とかんと!」って事で借りてきた。
シリーズとしては座頭市シリーズになるらしいけど、その座頭市の賞金首を狙う用心棒は黒澤明の「用心棒」と「椿三十郎」の桑原(椿)三十郎そのままのキャラで三船敏郎が演じている。
座頭市シリーズとしてはちょっと異色らしいけど、三船敏郎だけでなく若尾文子も出演していることもあり、当時は「時代劇頂上対決」として大きな話題となった座頭市シリーズ劇場版最大のヒット作らしい。
ストーリは黒澤明の「用心棒」に似ていて、町に居ついた対立するヤクザもの達を戦わせて自滅に追い込むという話である。
私自身は座頭市シリーズを見たことがないんやけど、勝新太郎の飄々とした演技はいい感じであったし、群がる雑魚どもを逆手に持った仕込み杖の変則的な型で切り捨ててゆくタイプの殺陣もいい感じであった。
太刀で受けて脇差を刺すって感じの三船敏郎の二刀流が「おおっ!」であった。
用心棒と座頭市の直接対決もあるけど、どちらも一瞬で相手を斬る居合斬りのタイプのこともあって大立回りは無く、まぁそうなるわなぁ…って感じの対戦結果であった。
でもまぁ「用心棒」や「椿三十郎」に比べると作りが中途半端なような気がするのは当然か。黒澤明の静と動のメリハリというか、ピリッとした雰囲気はあまりなくてごちゃごちゃしたような印象を受けた。
お互い強すぎる個性が余り良い方に生かしきれなかったような、例えば「刺身のマーボー」や「カレー鰻丼」などのような感じだろうか…
タイトルも「座頭市と用心棒」で何処にもバーサスやVSとも書いておらず、本来なら勝新太郎と三船敏郎の対決がメインでなく、あくまで座頭市の話のはずやけど、見るほうはどうしてもそう観られず、やっぱり二人の対決を望んでしまうわけで、そのへんが期待はずれになってしまうのが損な役回りの映画であるなと思った。