「シーザーとクレオパトラ」(1945/英)

amazon ASIN-B000084TLWゴールデンウィークが終わっても小出しにしていたゴールデンウィーク映画大会のエントリーもこれで終わり、第4弾はヴィヴィアン・リーが出ている「シーザーとクレオパトラ」である。
紀元前のエジプトに諸国で恐れられているローマのシーザーが進軍してくるという使者が現れ、国中がパニックになる。
クレオパトラはスフィンクスの下でそれとは知らずシーザーと出会い、女王としてローマの軍勢を迎え、女王としてエジプトを統治することとなるも、さまざまな陰謀がエジプトの宮廷に張り巡らされる。という感じのストーリー。シナリオはバーナード・ショウの戯曲をもとにして作ってあるようである。
セットもロケも豪華と言う割には意外にちゃちかったし、ローマの歩兵とエジプト軍の戦闘シーンも全く大した事無い。
恐らくこの映画は、映画史的にというか一般的に今となっては「ヴィヴィアン・リーのクレオパトラ」という一点のみの価値を持つ映画であるのだろう。


しかしながらそのヴィヴィアン・リー演じるクレオパトラの我侭さと言うか自己中というか、独善的で媚売り属性で構ってちゃんで公私混同するわ独立性は無いわりにプライドだけは無駄に高い性格に観ていてずっとイライラに似た感情を抑え切れなかった。
「ヴィヴィアン・リーのクレオパトラ」の魅力を前面に出す映画ならこのクレオパトラの性格付けはいただけないだろう。本当にこのクレオパトラを魅力あるものとして描いているつもりなのか激しく不思議であった。
それとは逆にシーザーの好人物さと器の広さが際立っていたけど、この映画はシーザーを描く映画ではないはずである。
しかしながら、どう考えてもこの映画はシーザーの映画であったし、女官の長である今にもゴスペルでも歌い出しそうなフタタティータやブルース・キャンベル似のシシリーの優男などの脇役が中々良い感じであった。
歴史的にはクレオパトラは策略家で自分の美貌を武器にシーザーを落として彼を後ろ盾にエジプトを治め、シーザーの亡き後はアントニーを射止めて彼を後ろ盾にする。美人で策略家の希代の悪女。という感じやけど、この映画では我侭高慢やけど基本的には天真爛漫な娘として描かれているわけで、シーザーはクレオパトラを好きだったという演出をされていたけど、実はシーザーはクレオパトラを思うままに操り、見事にエジプトを平定した。と言うちょっとした別の歴史解釈という事にもなるのだろうか。
良い素材を使いながらも、なんとも中途半端な印象の映画であった。
でもまぁそう感じるのはまともな歴史巨編として観ようとするからである。
ノーベール文学賞作家のシナリオを余りに中途半端な映画に仕立て上げるところなどはとてもB級冥利に尽きるような気がするし、B級映画として見ればその中途半端さも中々の味なのではないだろうか。

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