ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968/米)
ゴールデンウィーク映画大会の第3弾は「太平洋の地獄 」を。中々に強烈なパッケージの三船敏郎に釣られて、殆ど三船敏郎が出ていると言う理由だけで、思わず借りてしまった。
南国の無人の孤島でタフに生き抜く日本兵の下に米兵が漂着する。彼らは飲み水や食べ物を巡って、お互いを捕虜にすべく争うが、やがてこの島を脱出するために力をあわせて筏を作りはじめる。そして二人を乗せた筏は環礁を出て外洋に出る…という感じのストーリーである。
登場人物は三船敏郎とリー・マーヴィンのただ二人だけ、二人芝居が延々と繰り広げられ、このパッケージを見ただけで感じる様な暑苦しさが全編通して漂っていた。
「南の島のフローネ」とは凡そ対極の「南の島のミフーネ」であった。
ただ、フローネ同様に彼らはそれなりに楽しそうであり、タイトルの原題の「Hell in the Pacific」という割には全然地獄には見えんかった。
しかしながら、この暑苦しい男二人のみで延々続く映像の暑苦しさは観るものにとってある種の地獄ではあるかもしれない。
前半はゲリラ戦の手法で展開される子供じみた意地の張り合いと食べ物と水を巡った喧嘩が、後半は二人が筏に乗って島を脱出するところが見所であろう。
マニュアル人間のリー・マーヴィンが野生の勘で突き進む三船敏郎に励まされたり諭されたりする所が中々に微笑ましい。しかしながら三船敏郎は日本語で、リー・マーヴィンは英語で喋ったり罵り合ったりするわけで、お互いがお互いに何とか伝えようとする意思が全く見られず、肝心なところが全く通じていなさそうなところが妙に可笑しかった。
そして何よりこの映画のオリジナルのドリフのコントのようなラストに呆気にとられた。なんだこの終わり方は…
無人島でサバイブする野性味溢れたむやみに叫ぶ三船敏郎が良い感じである。やっぱり三船敏郎は侍か日本兵がよく似合うと思った。
はじめまして、
そういえば三船敏郎の方も航空隊の写真部ということで、あまり華々しい修羅場ではないですが、それでも二人とも戦争経験者なんですね。
確かにそういった役者の裏話を知った上で観るとまた違った観方が出来るかも知れませんねぇ。
私は思いっきりふざけた観方でしたが…
PS、重複したコメントの一つを消しておきました。
リーマーヴィンに絡む事など
彼は若き日、海兵隊員としてサイパン島上陸
作戦に参加、日本守備隊の反撃にあって所
属の小隊は全滅に瀕し、彼も尻に重傷を負
う。
回復後、戦艦ニューヨークに乗艦し硫黄島、
沖縄の攻略作戦に参加する。
1945年4月14日、同艦は神風特攻昭和隊・
佐々木八郎少尉(推定)の体当たり攻撃を受け
損傷するがマーヴィンは生き残る。
佐々木は東大経済学部出身の俊才で、宮沢
賢治の思想を根拠とする資本主義に替わる
新らしい思想とシステムの提案者であった。
(きけわだつみのこえ他)