プレデターランド 日記/雑記/妄談

プレデターランド

人間の中にある色んな感性と欲求と傾向やらが単一の要素として構成され、その人によっての単一の要素のあり方が人間の多様性の可能性だとするなら、同じ刺激に対して同じ反応が求められる世界や状況は多様性の放棄と個性の単一化が望まれる場でもある。 しかしながら、そういった感性や欲求や傾向が単一のものとして人にあるのではなく、全ての要素が混ざり合っている割合のあり方を多様性とするのなら、同じ刺激に対して殆ど全て[…]
レーモン・ルーセル 『ロクス・ソルス』

レーモン・ルーセル 『ロクス・ソルス』

昨日書いたどっちが著者でどっちがタイトルかわからん、レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』を読了。 某サイトで面白いと書いてあったので読もうと思ったけど、それまで名前も作品も聴いた事も無かった。 著者のレーモン・ルーセルは1877年にパリの富豪の息子として生まれて音楽を学んだものの、財産を後ろ盾に細々と詩と小説を書いて生計を立てていたようだ。 彼の作品は世間からは殆ど無視されていたけど、一部でコアな[…]
二重括弧のある世界 日記/雑記/妄談

二重括弧のある世界

レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』を読んでいるのだが、ラテン語を解さない私は初めて見た時にどっちがタイトルでどっちが作者の名前かわかりにくいな、ふーん。と思ったのだが、よく考えれば、考えるまでも無く、直前に読んでいた、どっちも人名なJ・M・クッツェー『マイケル・K』の方が余計に著者と書名の区別がつかんやんかと。 もし私が『埴輪』や『木偶』と言う本を書いたら、土偶『埴輪』、土偶『木偶』となってやや[…]
0.5転0.7転日記 日記/雑記/妄談

0.5転0.7転日記

無駄に駄文を載せるならいっそ何も書かない方が良いという気がするのだが、私ごときが何を書いたところで駄文以外の何物を生み出せ得るのだ? という見方もまたあるわけで、こうなると「毎日書き続ける」ところの価値を捨てないためにも書き続けようと思ふ。 経験的に何物かを発語することでその何物かが現象する事は事実のように思われるからして、「今日は一日何も無かった」とここに書けば、本当に今日は一日何も無かったとい[…]
J・M・クッツェー『マイケル・K』

J・M・クッツェー『マイケル・K』

ジョン・マックスウェル・クッツェーは南アフリカ出身の白人で、大学卒業後はイギリスでプログラマーとして働きながら修士論文を書き、アメリカに渡って言語学の博士号を所得、大学で教えながら作品を書き始め、1972年に南アフリカに帰国。 1983年と1999年と史上初となる二度のイギリスのブッカー賞を、2003年にはノーベル文学賞を受賞とキャリアは十二分。 一度目のブッカー賞受賞作となったこの本の内容は 激[…]
早寝、クッツェー 日記/雑記/妄談

早寝、クッツェー

FMで豊嶋泰嗣の無伴奏バイオリンをやるってもんで、ちょい楽しみにしてたのだが仕事が遅くなってほとんど聴けなかった。まぁ、どっちかというと残念という程度の残念さやけど。 家に帰ってジョン・マックスウェル・クッツェーの『マイケル ・K』を読む。 初めてこの人の作品を読んだがとても面白い。 この本だけが面白いのかこの人が面白いのかわからんけど、この本を読み終わったらほかの本も読んでみようと思う。 ちょっ[…]
エアポケット 日記/雑記/妄談

エアポケット

朝起きてから本を読み始めたものの、読むペースがだんだんと落ちて集中力が途切れがちになり、昼になって本読みを諦める。 だからといって特にする事もしたい事も出かける用事も無いのでひたすらダラダラと音楽を聴く。 レコードもCDも再生後に新しいものと入れ替える気が起こらず、MP3を音楽再生マシンから延々再生する。ひたすら聴く、聴きまくる。 聴いても聴いても何も変わらない。下方へ向かわないものの気分が良くな[…]
阿部和重 『プラスティック・ソウル』

阿部和重 『プラスティック・ソウル』

阿部和重 『プラスティック・ソウル』を読んだ。 1998年から2000年までの連載小説が2006年3月に単行本化されたもので、明らかに芥川賞を取った後の阿部和重需要が上がったために世に出ることとなった本のようである。 この連載中に「シンセミア」の連載が始まったこともあって、とても苦しんだ連載だったようであり、阿部和重自身がこの本の出版を渋り、あまり自身のある作品ではないといっているところは巻末に詳[…]
ふたりはブリュギア 日記/雑記/妄談

ふたりはブリュギア

耳と頬を通り過ぎる風が身を切るように冷たい。街を埋め尽くす白痴のごとき赤と緑のハレーションと、色りどりのLEDの狂気じみた光が目を射る。 「12月24日なんか消えて無くなればいいのに」 土偶はそう一人心地て自転車を漕ぐ足に力を込め、点滅する赤い尾灯の尾を引いて渋滞した車の間を縫うように走る。 いつもならすっと大気に溶けてゆく筈の悪意は、まだ引っかかったようにしがみついている、漕げども漕げども気は晴[…]
レベッカ・ブラウン 『私たちがやったこと』

レベッカ・ブラウン 『私たちがやったこと』

レベッカ・ブラウン『私たちがやったこと』を読了。 最近読んだ二作『体の贈り物』『家庭の医学』のいわるゆる「介護文学」なるものとは全く色合いも雰囲気も違う話であり、基本的には「私」「あなた」の一人称と二人称で語られる、カップルを巡る七編の短編で構成されている。安全のために、私たちはあなたの目をつぶして私の耳の中を焼くことに合意したと中々ブッ飛んだ出だしで始まる表題作のように、狂気じみた、というか狂気[…]
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