古本屋で消え入りそうになる

古本屋で消え入りそうになる

なんちゃらオフなる巨大チェーン型の古本屋が台等しだしてからというもの、そこで二束三文で売り飛ばされている書を買い叩いてくるのがすっかり生活習慣として定着した。 昔ながらの古本屋と言えば、店ごとに得意ジャンルがあってその系統の本ばかりが重点的に集めてあるといった方針であるので、店に行った時点でその店の傾向の本ばかりに出合うことになる。 しかし、このなんちゃらオフなる巨大店舗型は実に様々なジャンルの本[…]
乙武洋匡『自分を愛する力』/「自分を愛する力」は「他人を愛する力」でもある

乙武洋匡『自分を愛する力』/「自分を愛する力」は「他人を愛する力」でもある

友人が「グッと来た」といっていた乙武洋匡『自分を愛する力』を読んだ。 SISBN-10: 4062881985 以前読んだ氏の『五体不満足』が予想していた内容とまったく違う、いわば「タレント本の様な読後感」だったのでズコーとなったのだが、 SISBN-10: 4062091542 この『自分を愛する力』はこんなにも自分を肯定して愛している彼が「自己肯定感」について語るという、テーマとしては重くて深[…]
生き残るための教養/大澤武男『ユダヤ人の教養:グローバリズム教育の三千年 』/山形浩生『新教養主義宣言』

生き残るための教養/大澤武男『ユダヤ人の教養:グローバリズム教育の三千年 』/山形浩生『新教養主義宣言』

最近「教養」がタイトルに含まれる本を立て続けに2冊読んだ。 一冊は最近出たばかりの新刊書、 大澤武男『ユダヤ人の教養:グローバリズム教育の三千年 』 SISBN-10: 4480066926 そしてもう一冊は20世紀の終わりに書かれた古い本、 山形浩生『新教養主義宣言』である。 SISBN-10: 4794964153 一冊目の『ユダヤ人の教養』はユダヤ人が世界中から迫害や差別や規制を受けながらも[…]
村上春樹の何がすばらしいのか?

村上春樹の何がすばらしいのか?

前のエントリを書いていて村上春樹の『ノルウェイの森』の中の緑の台詞を思い出し、該当箇所を探すためにパラパラしていたらいつの間にか読んでいた。 やっぱり何度読んでも、物干し場でビールを飲みながらギター弾いて唄を歌いつつ火事を見物するシーンと、緑の父親と胡瓜を食べるシーンはよろしいですな。 前から何度も書いているけど、村上春樹のすばらしいところは、ただ面白いというだけじゃなくって、こういう人の心の中に[…]
チェルノブイリ ルポルタージュ/日本は成功した社会主義国 @災害

チェルノブイリ ルポルタージュ/日本は成功した社会主義国

先日読んだ『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』に関連して、チェルノブイリ原発事故後すぐに現地で写真集として出版されたものを三年後に翻訳して日本で出版された、『チェルノブイリ ルポルタージュ』を読んだ。 ISBN-10: 4871987817 この本はアマゾンではなぜか18禁のアダルト商品として扱われているがw、実際はチェルノブイリ原発の事故や町の様子、避難する人や作業員の様子などを現場の人[…]
チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド/事実よりも感情 @災害

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド/事実よりも感情

全く最近まで知らなかったのだが、欧米では戦争跡地や虐殺や災害現場を訪れる観光が「ダークツーリズム」と呼ばれてひとつのジャンルとなっているらしい。 日本では「観光」なる単語がレジャーや楽しみの方向に直結しており、そういった場所を観光として訪れるのはあまりに軽薄で不謹慎であるといった違和感があるが、「ダークツーリズム」なる単語は我々が想像する「観光」よりも「社会見学」に近い言葉なのだろう。 最近読んだ[…]
梅棹忠夫の『知的生産の技術』/むしろ情報が氾濫する今こそ

梅棹忠夫の『知的生産の技術』/むしろ情報が氾濫する今こそ

梅棹忠夫の『知的生産の技術』を読んだ。夜中に読み始めて殆ど朝まで一気読み。 ISBN-10: 4004150930 とても有名な本なのに今まで読まなかったのは、私がhowto本や自己啓発書の類や「ライフハック」的な方向性があまり好みではなく、この本がそれらの延長線上にあるとみなしていたからだ。 であるにも拘らずなぜ今になって読んだのかといえば、なにかしらで梅棹忠夫氏の人物そのものに対する興味がずっ[…]
さかなクンとスケベ心と悦ばしき知識

さかなクンとスケベ心と悦ばしき知識

2つ前のエントリに、せめて遊ぶときくらいは目的や意味とか価値や意義を求めたくない。と言うようなことを書いたけど、何かしらの言動にすべからく「目的や意味とか価値や意義」を求めるのは「スケベ心」と言ってしまっていいように思う。 それは本を読むことも同じで、スケベ心を持つオッサンやオバハンになるほど、単純な興味や問題意識から本を選ぶのではなく、何かしらの目的を達成するための手段の一つとして本を手にとる事[…]
月村太郎著『民族紛争』/気が滅入る本

月村太郎著『民族紛争』/気が滅入る本

前日に『風の谷のナウシカ』を読んで気が滅入った。と書いたが、ここ最近で読んでいるだけで一番気が滅入る本がこれ、月村太郎著『民族紛争』だ。 ISBN-10: 4004314313 この本は、民族紛争を民族間の軍事介入やジェノサイドといった武力紛争として、収束や終結した別々のパターンを持つ6つの事例を例に、その経緯やそういった事例の解決方法についても考察してある。 この本の中に扱われている事例は現在進[…]
東谷暁『経済学者の栄光と敗北』/経済学で世界を救おうとする勇者たちの物語

東谷暁『経済学者の栄光と敗北』/経済学で世界を救おうとする勇者たちの物語

東谷暁『経済学者の栄光と敗北』を二週間ちょっとかかってやっと読み終わった。 ちょっとした新書本の三冊分はありそうな分厚さと、脚注を書籍内に収めずにネットで参照するようになっていたりととても中身が詰まっていた印象である。 前に読みはじめた時にエントリを書いたように、ケインズ以降の主要な経済学者を性格から生い立ちから性的嗜好といったところまでも絡めて、彼ら本人の問題意識と彼らの主張した考え方の解説がな[…]
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