映画:ヴィム・ヴェンダース「ミリオンダラー・ホテル」 / 脆さゆえの美しさ/足りないものと過剰なものとのコントラスト

amazon ASIN-B00005Q81Hこの間観た「ベルリン・天使の詩」(1987/独=仏)がとても面白かった、ヴィム・ヴェンダースが監督した「ミリオンダラー・ホテル」 (2000/独=米)を観た。
社会に適合できない狂人や変人達が住むミリオンダラーホテルで雑用をこなしながら生活する知的障害の青年が、ホテルの屋上から親友が転落死したのを切欠に、同じホテルに住む女性に心引かれてゆく。という話である。
基本的には恋愛映画やけど、ダメ系、キティ系の上に「ベルリン・天使の詩」のヴェンダースが監督、さらにミラ・ジョヴォビッチが出てるとなればこれはもう観るしかない。
なんとなく作りにあざといというかわざとらしいところがあったけど、プライベートライアンのアパム伍長のジェレミー・ディヴィスとミラ・ジョヴォヴィッチがとてもいい感じだった。


ミリオンダラーホテルの住人には、自分はビートルズの5人目のメンバーだったと主張して自分の失われた利益や不満をぶちまけてばかりいる男や、自分をネイティブアメリカンの族長だと思い込んでいる男など、いかにもそれらしい人もいて、結構こういった人を楽しみにこの映画を観たのやけど、この部分ではちょっと期待はずれ。
この映画全体に漂う「脆さ」がなんともたまらんかった。線が細くて、透明で、繊細で、純粋で、かつ複雑な構造をしたものの持つ「脆さ」がゆえの美しさがこの映画全体には漂っていたように思う。
ミラ・ジョヴォビッチとジェレミー・デイヴィスに代表される、足りないものの美しさから見て、メル・ギブソンに代表される過剰なものが如何に異質に見えるかというのが印象に残った。
しかしこんな感じの如何にも儚げで脆い役柄のミラ・ジョヴォビッチがとてもいい感じであった。

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