黒澤明 「乱」 (1985/日)
2007年12月14日
黒澤明の「乱」を観る。ウィリアム・シェイクスピアの『リア王』を下敷きにした人間の業を描く物語と言う事になっており、なんだか「娯楽映画」では無かった。芸術や思想であると呼ばれる映画を目指しているように見えた。このあたりがイマイチ古くからの黒澤明好きに評価されないゆえんだろう。
「黒澤明」で想像されるものを望んで見ると期待はずれになるけど、そう思わないで見れば悪くは無いと思う。これは面白かった!という印象は無いけど不思議に目の離せない映画だった。ただちょっと長すぎる。
凄いと前評判のあった馬での合戦のシーンはそれほどとは思わなかったけど、銃と矢での攻城シーンは凄かった。それからワダ・エミの衣装も良かった。
原田美枝子演じる「楓の方」の毒婦ぶりが怖くて凄かった。いきなり脇差を抜いて突きつけるシーンは「ひょぇ~」である。
仲代達矢演じる老いた大殿が黒澤明にオーバーラップして見えてなんだか悲しかった。
この大殿を三船敏郎が演じていたらまた違う映画になったんやろうなぁと思った。