ジョン・ウー 「男たちの挽歌」(1986/香港) / 「男たちの挽歌II」(1987/香港)

amazon ASIN-B00005FPSQamazon ASIN-B00005FPSRジョン・ウーの「男たちの挽歌」「男たちの挽歌II」を観た。今までずっと見たかったのやけど、やっと念願叶う事になった。
カンフーとコメディばかりだった香港映画に「香港ノワール」なる潮流を作り、また後のハリウッド系のガンアクションにも決定的な影響を与えた、元祖ハンドガン両手撃ちの映画であり、監督のジョン・ウーとチョウ・ユンファの出世作ともなった。
原題は「英雄本色」、英題は「A Better Tomorrow」であるけど、語呂としても題が内容を表わしていると言う面でも邦題の「男たちの挽歌」が一番良いように思う。
今まで見て無かった私が言うのは何だが、少年漫画的三大要素の「友情、勇気、任侠」が過剰に詰まった、男の子たるものこの映画を観ておかなければお話になるまい。と言うような映画であった。


ひたすら撃ちまくり殺しまくる映画やと思っていたけど、アジア映画特有のやたらと馴れ馴れしい親子愛やとか兄弟愛やとか友情を描く部分が多く、組織を抜けて堅気に戻ろうとするけどヤクザものばっかり纏わりついてきて困った困った。てなかんじのウェットな描写も多かった。映画全体の雰囲気としてはもうダサくて熱くて恥かしい。
しかしながら、出てくる役者の「漢」度合いが最高に素晴らしい。「Ⅰ」のチョウ・ユンファとティ・ロン、「Ⅱ」はそれに加えてディーン・セキとタクシー会社の社長のケン・ツァンまで加わって最高に漢臭い。
狙撃は行わない、敵の銃は拾って使わない、急所は狙わない、一人につき5発は打ち込む、銃は全弾打ち尽くすまで使う、ホールドオープンしたらマグチェンジせず捨てて次の銃を使う、という美学が貫かれているところが余りに漢である。ショットガンのスパス12まで8+1発を打ち尽くしたら捨ててしまう。あ~勿体無い。
出てくる銃器でサブマシンガンやアサルトライフルや自動拳銃は使用弾薬が9mmパラベラムのもので統一されて弾薬の互換性を保ち、ハンドガン両手撃ちは左手撃ちにも配慮してあるベレッタのM92を使うという事で銃器マニアにも納得できる設定である。
しかしながら「Ⅱ」の最後の殴りこみシーンで残り弾数を予測するために撃った弾の数を数える野暮は禁止である。デコの後退しているティ・ロンに「志村~マグチェンジ!マグチェンジ!!弾切れるって!!」と心の中で呟くだけにしておこう。
「Ⅱ」の階段を背中で滑り降りながら両手撃ちするシーン、チョウ・ユンファが中野浩一似の男(私は心の中で「エージェント中野浩一」と呼んでいる)と対決するシーン、血と死体の海で三人そろってソファーに座っているシーンは余りも「漢」心をくすぐって止まない。
ひたすら男心をくすぐり、見終わった後にはガスガンを二丁構えてティッシュの箱を穴だらけにしたくなるような、そんな素晴らしい映画であった。
「男たちの挽歌」シリーズとしては「Ⅰ」と「Ⅱ」がストーリーとして連続しており、「Ⅲ」は話としては「Ⅰ」の過去であるけど、チョウ・ユンファが出てるものの監督はジョン・ウーでなく、「Ⅳ」に至ってはジョン・ウーにもチョウ・ユンファにも関わりが無いらしく、観たものかどうしたものか考え中。

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