山田洋次 「馬鹿が戦車でやって来る」 (1964/日)

amazon ASIN-B0009G3F4I公開当時は娯楽映画やったはずやけど、今となればそれなりの「カルト映画」扱いをうけているらしい「馬鹿が戦車でやってくる」を観た。
一応「馬鹿シリーズ」最高傑作の第三作目と言う事らしいけど、前二作は観ていない。
村外れのあばら家に住む、村中から忌み嫌われて馬鹿にされている一家の長男のハナ肇演じるサブと言う男が、村中にコケにされて暴れて留置場に入れられている間に村会議員から畑を騙し取られる。
留置場から出たサブはそれを知って怒り狂い、少年兵時代に持ち帰った戦車を暴走させて村を襲う。というもの。
なんかよく似たような事件がこの間アメリカであったような。武装装甲シャベルカーで建物を破壊したとか何とか。
なんとなくコメディータッチな喜劇っぽい作りやけど、ムラ社会でスケープゴートに祭り上げられて笑い物にされる一家の扱いが何ともエグい。よくよく考えれば最後の最後まで救いが無い。
村唯一の味方である筈のお嬢さんですら、自分の言動のの責任を取らなさ過ぎる上に全ての騒動のトリガーとなっているわけで、実は一番の食わせ物である。
考えれば考えるほど「ほのぼの」とは凡そ対極にあるような、陰惨なムラ社会の悪い所だけを集めたような映画であった。こんなトーンであるだけに余計性質が悪いなぁ。

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