本 30 11月 2006 ミラン・クンデラ『ほんとうの私』 子供を失って離婚した高給取りの女性と、年下の知的ダメ男系の熟年カップルの恋愛について書いた小説。 なぜか本国フランスよりも日本語版が先に発売されたと言う、日本をターゲットにしたと思われるこの本。 そこのところの意図は結局わからんままに終わった。まぁ特に訳なんか無かったのかも知れんけど。 小説形式は今までのような小説内に作者が登場したり、何かについて雄弁に語ってみたりと言うことは一切無く、どちらかと[…] 続きを読む
日記/雑記/妄談 29 11月 2006 珍曲「地獄篇」 昨日まで4連休だったのだが、折角の連休を全て本読みだけで潰したのは如何なものかと思わなくも無い。 しかし、そういう「いかがななものか?」てな見方で過去を見だすと、この一ヶ月はいかがなものか?この一年はいかがなものか?この数年は?今までの一生は?と際限なく連鎖して変な所に入って浮かび上がれなくなりそうなのでやめておこう。 何ぼ本読んだところで「リートスト」を正当化する理由を探すような読み方は意味が無[…] 続きを読む
本 28 11月 2006 レベッカ・ブラウン 『家庭の医学』 レベッカ・ブラウンの『家庭の医学』を読了。 この間読んだ同じ作者の『体の贈り物』がHIV患者のホームケア・ワーカーの話だったけど、今回は末期癌となった母を介護する話。 母の体調が悪くなって病院に行き、癌である事、転移してすでに手遅れであることが判明し、様々な延命治療や緩和治療を施し、ホスピスで死を看取る、というところが語られる。 前作と同じような淡々と感情を表さない語り口が読む者の心を揺さぶる。と[…] 続きを読む
本 28 11月 2006 阿部和重 『アメリカの夜』 最近お気に入り小説家である阿部和重のデビュー作である『アメリカの夜』を読了。 自分は特別な存在ではないか?などと思い描く男を自分の分身として描写する男を描いた、ちょっと聞いた感じではややこしい話。 デビュー作のこの作品も、阿部和重の書く小説を特徴付ける(と思っている)共感も同情も出来ない痛々しい主人公と登場人物のみで構成されている。 人と違うこと自体に価値を認め、身の程を知らず、無根拠な自信に満ち[…] 続きを読む
本 27 11月 2006 ミラン・クンデラ 『笑いと忘却の書』 最近お気に入り小説家の上位に急上昇しているミラン・クンデラ の『笑いと忘却の書』を読了。 ミラン・クンデラが亡命先のフランスから出版した最初の小説であり、この出版が直接の原因となってチェコの市民権を剥奪されたらしい。 amazonの紹介によると党の修正により、となりの男に貸した帽子を除いて、すべての写真から消滅した男。一枚の写真も持たずに亡命したため、薄れ行く記憶とともに、自分の過去が消えてしまう[…] 続きを読む
本 26 11月 2006 イーサン ケイニン 『宮殿泥棒』 イーサン ケイニン 『宮殿泥棒』を読んだ。 ネット上で本好きと言う本好きがそろって絶賛する柴田元幸訳の中編集。 普通の物語では決して主人公になれないような気弱で生真面目な「優等生タイプ」を描く四篇が収められている。 真面目一筋でそこそこの成功を収めた男が大成功を収めた幼馴染と会って心が揺れ動く様を描いた「会計士」、数学の天才で大人たちを煙に巻く兄を持つ、そこそこ優秀な弟の話である「バートルシャーグ[…] 続きを読む
本 26 11月 2006 池田清彦 『初歩から学ぶ生物学』 enzian氏ブログで紹介されているお勧め本と言うことで、読もう読もうと思っているうちに延び延びになっていたものの、やっとこさ読んだ。 と言うことでenzian氏のブログの該当エントリはこちら。 内容は一般向けの生物に関する本や新聞記事を興味を持って深く読みこなす素養がつく位の、生命論、生態学、発生学、進化論、分子生物学などなどの話題。 いきもの好きなのでかなり楽しく読めたが、そうでない人も楽しく[…] 続きを読む
本 25 11月 2006 吉田満 『戦艦大和ノ最期』 戦後文学、戦記文学の古典として名高い、吉田満『戦艦大和ノ最期』を読む。 軍少尉、副電測士として「大和」に乗り組んでいた著者が、必敗の作戦へ最後の出撃をしたものの、敵の航空部隊と魚雷攻撃によって成すすべなく沈没させられる「大和」から逃げ出し、そして救出されるまでを漢字カナ交じりの文語体でストイックに多弁を控えて淡々とのべられて行く。 緊迫した戦況の記述と悲惨な救出劇の他に、戦友たちの個人的なキャラク[…] 続きを読む
本 25 11月 2006 パウロ・コエーリョ 『悪魔とプリン嬢』 ブラジルのこえぴょんことパウロ・コエーリョの『悪魔とプリン嬢』を読了。 人は七日間で生まれ変われることができるというテーマに貫かれた、『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』と『ベロニカは死ぬことにした』に続く「そして七日目には…の三部作」の完結となるらしい。 中々有名なの本でかつ誉める人が多いにも拘らず、ふざけたタイトルとそのタイトルで特定の人物を連想させられることから今までなんとなく避けてきたものの[…] 続きを読む
本 24 11月 2006 レベッカ・ブラウン『体の贈り物』 とあるwebページで絶賛されていたレベッカ・ブラウン『体の贈り物』を読了。 柴田元幸が翻訳したと言うことも読んだ一因である。 短編の構成を取りながらもそれらがリンクして連作としての物語になると言う構成の、死を待ちながらもどんどん日常生活が出来なくなって行くHIV患者達と、彼らのホームケア・ワーカーとして身の回りの事を世話する女性の物語。 限りなくチープでありきたりの押し付けがましく説教臭いお涙頂戴[…] 続きを読む